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福島のベンチャー、がん治療器開発加速 故堀場雅夫氏ら出資

次世代がん治療器を試験するため、福島SiC応用技研が昨秋に完成させた新棟(福島県楢葉町)
次世代がん治療器を試験するため、福島SiC応用技研が昨秋に完成させた新棟(福島県楢葉町)

 堀場製作所を創業した故堀場雅夫氏が設立に携わり、ロームなどが出資した医療機器開発ベンチャーの福島SiC応用技研(福島県楢葉町)が、次世代がん治療装置の開発を加速させている。昨秋に試験用の新棟を同町に完成させ、人員も増強。2020年ごろの実用化を目指す。京都ゆかりのハイテク企業が、東日本大震災の被災地の産業復興に貢献しようとしている。

 同社は堀場氏らの出資で14年に設立された。堀場氏の「原子力災害被災地の復興を支援したい」との思いを受け、同町の工業団地で震災後に企業が撤退した跡地に進出した。

 開発を進めるのは中性子線を使った放射線がん治療装置(BNCT)。ホウ素をがん細胞に取り込ませ、中性子線を照射することでがん細胞を選択的に破壊できる。切開手術が不要のため患者負担が少ないのが利点だ。

 計画では、電力損失が少ない次世代半導体シリコンカーバイド(SiC、炭化ケイ素)をロームから調達し、他社のBNCTより大幅に小型化。価格を1台10億~15億円程度と他社の半額以下に抑える。中性子線の照射も1方向から10方向に増やし、体内深部まで治療できるようにする。

 昨秋には装置を試験する新棟が完成し、地元から約20人を採用。今年2月には経営安定化に向け、京都の金融機関などでつくる「京都市スタートアップ支援ファンド」などを引受先とした第三者割当増資で3億4千万円を調達した。

 BNCTの第1号機はロームが購入し、20年に専用施設とともに京都府立医科大(京都市上京区)に寄付。同大学で臨床試験(治験)を進める予定だ。国内での普及を目指す一方、米国や中国などの海外展開も視野に入れている。

 福島SiCの古久保雄二社長は「多くの病院に装置を広め、がんが治る患者を増やしたい。現地はまだ店舗なども少なく、地元雇用を通して避難住民の帰還に少しでも貢献できればいい」と話している。

【 2018年03月10日 19時00分 】

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