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(4)梅包

京都華包研究会 大津智永
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梅包の折形図
「梅包」(遠州六世貞松斎米一馬筆「華包」より)


春待ちわび、花に想いを


 寒気の残る早春、百花にさきがけて咲くことから、古来「花の兄」と親しまれてきた。万葉集で「花」といえば「梅」を指すほど。菅原道真が愛したことでも知られる。松や竹とともにめでたい植物とされ、春告げ草、匂い草などの別名も。




 和紙の温かさと植物の力強さが一つの姿に。いつの時代も華包の魅力はそこにあったのではないかと思います。今回は松竹梅の嘉祥木(かしょうぼく)の一つとしてもたいへん馴染(なじ)み深く好まれてきた梅を生けた「梅包」。椿(つばき)と苔(こけ)の古木で可憐(かれん)さをより引き立てられた白梅の花は、春の訪れがすぐそこにあることを思わせてくれます。

 もう一つはバレンタインをイメージした華包。

 同じ「梅包」ですが和紙の柄や水引に変化をもたせるだけで、まったく違う表情をみせてくれます。スプレーバラと白梅を生けましたが、花に想(おも)いを託しチョコと一緒にプレゼントするなど、いつもと少し違った2月14日にしてみてはいかがでしょうか。

 江戸時代から変わらぬ美しさを見せる華包。西洋の文化との融合をも見せた姿は、今の時代でしか感じられない新しい魅力の一つなのかもしれません。


京都華包研究会 大津智永 (おおつ・ちえい)

 1979年京都市生まれ。都未生流副家元。京都華包研究会同人。

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荘厳な本堂に、りんと咲く。かすかに初春の香りを運んで(京都市左京区・高樹院)
花材=白梅、ツバキ
ハート形の水引飾りを添えれば、バレンタイン気分も一層高まりそう
花材=白梅、スプレーバラ

【2018年02月09日付京都新聞夕刊掲載】