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(442)光る、ふとした春の気づき

作品

・まだひる間外でいっぱいあそべるの
長岡京市・ゆりかご保育園年長 植 みこ

・日曜日キャベツしゃきしゃき春の音
大津市・瀬田北小3年 小森 春輝

・ふと見ると川の流れに花びらが
城陽市・寺田南小5年 香々美粧友

ねんてん先生

ねんてん先生の575

 植さん。昼間(ひるま)の時間がいつのまにか長くなっていることに気づきました。それが「まだひる間」。この気づき(発見)、いいなあ。

 季語では長くなった春の昼間を、「永(なが)き日」「永日(えいじつ)」などと言います。夏目漱石(そうせき)には「永日小品(しょうひん)」という作品があります。永日という言葉、植さんも一度使ってください。夕方、たとえば家族のだれかに、「永日だね、まだまだ明るいよ」と言うのです。

 小森さん。春キャベツの音ですね。トンカツにキャベツをいっぱい添えたのでしょうか。時間がたっぷりとある日曜日だからこそキャベツの春の音に気づいたのではないでしょうか。

 香々美さんの句も「ふと見ると」が気づきです。私たちはいつでも何かを見ていますが、でも、なぜかあまり気づきません。見ているようで何も見ていない、それがふだんの私たちです。だから、ときどき、「ふと見る」がとても大事なのかも。立ち止まって、あたりを見わたすのです。すると、今まで見えなかったものが見え、はっと驚いたりします。香々美さんには川の流れに乗る花びらが見えました。

 香々美さんの句から、私はテレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」や美空ひばりの「川の流れのように」という歌を連想し、思わず口ずさんでいました。もしかしたら、かなり古いかな、この私の連想は。
(俳人、京都教育大・佛教大名誉教授 坪内稔典)

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【2018年04月15日掲載】