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滋賀県中小企業家同友会代表理事 坂田徳一さん

理念持ち、社員大事に
坂田徳一さん
さかた・とくいち 彦根工業高建築科卒。建設会社勤務を経て1986年、坂田工務店入社。93年から社長。滋賀県中小企業家同友会は94年入会。理事、副代表理事を経て2010年から代表理事。現在、政策委員長を務める。大津市出身。58歳。
 輸出の不振や消費低迷で国内経済は後退局面に入った。地域を支える中小企業の経営者には何が求められるのか。滋賀県中小企業家同友会の坂田徳一代表理事は、理念と方針、計画が一体となった「指針経営」の大切さを訴える。

 -外需の低迷や為替の円高が長引き、滋賀企業の景況感も厳しさが増している。
 「滋賀県は製造業の割合が多いため、他府県よりも先行きの閉そく感が強い。今期業績を上方修正したトヨタ自動車でさえまだしっかり先行きが見えていないことが心配だ。2008年のリーマン・ショックから景気変動のテンポが早くなっている。中小企業の経営者はグローバルな動きがすぐ自社にも影響すると認識しておく必要がある」

 -厳しい経営環境の中で中小企業が生き残る道は。
 「激しい変化の中で新たに誕生する産業がある。そこで中小企業が担える役割がビジネスチャンスになる。本業に関連する技術やサービスを生かしてできることが必ずある。人口増が続く湖南地域ではその分消費も伸びている。近年は他人と違ったものを求めるこだわりや生活の充実、癒やしなど新たな志向がある。会員610社を見れば、強い技術やノウハウを持つ企業は今も元気。人材を育て、独自の技術やサービスを磨いて強靱(きょうじん)な経営体質を作っている」

 -同友会が「指針経営」の普及に取り組む狙いは。
 「企業経営で重要なのは、企業の社会的な存在目的や理念を持つこと。理念が見えれば社員も人生をかけることができる。経営者や社員は地域に貢献し、地域を活性化させるという誇りと自負を持つべきだ。社員を大事にしている企業ほど厳しい時に強い」

 -中小企業憲章の閣議決定で、中小企業の役割を再評価する動きが広がっている。
 「中小企業の存在価値は雇用と納税だけでなく、地域貢献にもある。行政は大手企業の工場誘致に多額の費用をかけるよりも中小企業の育成に投資した方が長期的なメリットが大きいのではないか」

 -県は11月定例県議会に「県中小企業の活性化の推進に関する条例」(仮称)案を提出する。
 「条例案についてこれまで県と率直に議論ができたことは意義があり、同じ方に向かってスタートを切ることができる。県が条例を制定すれば各市町への波及効果も期待できる。これをきっかけに市町への要望活動も広げていきたい。条例の趣旨を実現するには経済や教育、福祉など幅広い団体が連携を強化する必要がある。県には中小企業政策に結果を反映できる議論の場の設置を求めたい」=おわり

【2012年11月11日掲載】