京都新聞TOP > 文化庁 京都移転
インデックス

文化資源を産業振興に

関西財界セミナー閉会

 第56回関西財界セミナー(関西経済連合会、関西経済同友会主催)は9日、国立京都国際会館(京都市左京区)を会場に2日目を迎え、六つの分科会で議論を掘り下げた。文化庁の京都移転を踏まえて文化・芸術を産業振興に結びつける方策が示されたほか、イノベーション(技術革新)の創出や対日投資の誘致についても活発に意見を交換。セミナー宣言を採択し、閉会した。

文化庁京都移転踏まえ アジアの投資促進も議論

文化を生かした産業振興について活発に議論する参加者ら(京都市左京区・国立京都国際会館)=撮影・辰己直史
文化を生かした産業振興について活発に議論する参加者ら(京都市左京区・国立京都国際会館)=撮影・辰己直史

 関西の文化資源の産業活用を議題とした分科会では、ニッセイ基礎研究所の吉本光宏研究理事が企業による文化支援活動について持論を展開。「芸術・文化への投資は直接回収できなくても、周辺領域で投資を上回るリターンを生み出す」と話し、中でも創造性が求められる産業では成長の源泉になり得るとの認識を示した。

 宝ホールディングスの大宮正相談役は「企業人のコミュニケーション能力向上にはアートが効果的。人材育成に文化を取り入れるべきだ」と提言した。

 文化庁の京都移転を巡っては、月桂冠(伏見区)の大倉治彦社長が「京都は文化人や寺社のトップと直接会って情報交換ができる」と利点を挙げる一方、「関西だけでなく、日本全体の文化振興という視点を忘れてはならない」と強調した。

 イノベーションがテーマの分科会は、関西が強みを持つ次世代産業に健康・医療や環境・エネルギーなどが挙がり、広域的な産学連携の仕組みを求める意見が相次いだ。

 堀場製作所の足立正之社長は「大学や研究機関、企業で個々にいい技術が育っている。(各組織の)垣根を下げて関西として一つの力にできるかがポイントだ」と指摘した。

 京都銀行の柏原康夫相談役は「ネットワーク型プラットフォーム(基盤)の必要性の議論は進んだ。もう行動すべきだ」と述べ、関経連や関西広域連合などの広域組織が主体的役割を担う必要性を説いた。

 アジアと関西の企業間ビジネスの活発化を探った分科会は、海外の資本や人材を呼び込む戦略を論じた。

 関経連の松本正義会長は、アジアとの結び付きが歴史的に深い関西が先頭に立つべきと訴え、「関経連を中心に関西とアジアの経済団体協力機構をつくりたい。双方の企業のマッチングなどが進めば、強い経済圏になる」と構想を披露した。

 一方、パナソニックの遠山敬史常務執行役員は「プラットフォームをつくり(アジアの企業を)関西に呼び込むよりも、生産や開発といった部門単位での協業を考える時代ではないか」と述べた。


セミナー宣言の要旨 

 関西財界セミナー宣言の要旨は次の通り。

 1、大阪・関西での2025年国際博覧会を誘致。インバウンド拡大に取り組む。持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する。

 2、関西の文化の力を人材育成に活用。文化庁の京都移転を機に文化資源を産学官一体で磨き上げ、国際的都市間競争を勝ち抜く。

 3、アジアから関西への投資を促し、独自の経済成長を目指す。アジア各国と関西の経済団体の双方向コミュニケーションを図る。

 4、関西の大学・研究機関、企業の連携のもと、企業や人材を国内外から呼び込み、魅力あるイノベーション・エコシステムを構築する。

 5、働き方改革を付加価値を高める経営戦略に位置付け、社員が能力を発揮できる環境整備に努め、真の生産性向上を実現する。

 6、グローバル資本主義の功罪を見極め、目指すべき社会にふさわしいシステムを模索。社会的価値向上に資する成長を目指す。

【2018年02月10日掲載】