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きょう投票  一人一人の意思を示そう

 列島に台風21号が近づく中、衆院選は投開票日を迎えた。悪天候を避けて期日前投票をした人も多いようだ。これから行く人は、空模様に十分留意して出かけてほしい。風雨の強まらないうちに、できるだけ多くの人に投票所に足を運んでもらいたい。
 5年近くに及ぶ安倍政権に審判を下す重要な機会である。憲法、とりわけ9条改正が争点として明確であることにおいて、特筆すべき選挙ともいえる。
 「森友・加計学園疑惑隠し」と指摘される唐突な解散、野党第1党の民進党の分裂、二つの新党の登場-。異例続きの展開に、「票欲しさ」の醜い政治の側面を見た思いの有権者も多いだろう。社会保障改革や財政健全化、地方創生などについて政策論争が深まらなかったのは、急な選挙で与野党とも公約の練り上げが足りなかったことが大きい。
 政権与党との「1対1の構図」をつくると宣言して新党・希望の党への合流を決めた民進が、希望側の「排除の論理」で分裂したことも、政権批判票の受け皿を期待した人々には興ざめだったろう。
 とはいえ、どれほど選びにくい状況でも、私たち有権者は何かを選ばなくてはならない。一人一人の意思を、投票ではっきりと示す必要がある。
 衆院選の投票率は2012年、14年と連続して過去最低を更新した。14年は有権者のほぼ半分しか参加していない。
 このままでは民主主義の根幹が揺らぎかねない。
 一票を投じる行為は、選挙戦で各政党、候補が語った心地よい言葉を「言いっ放し」にさせず、責任をもって実行させることにつながる。
 その際、忘れてならないのは各党が「語らなかったこと」にも目を向けて吟味することだ。
 たとえば主要な争点の一つの消費税について、与党は税率アップを前提に増収分の使途変更を、野党は増税凍結・中止を訴えた。しかし、代わりの財源は何か、国の借金返済をどう進めるかは、どちらもほとんど語らずに終わった。
 エネルギー政策では野党が脱原発を主張するものの、どう原発依存度を下げていくのか、具体性がなく物足りなかった。憲法改正は与野党5党が前向きだが、憲法のどこをどう変えるのか、なぜ改正が必要なのかを必ずしも明確にしていない。
 この5年で目立ってきた、安倍政権の「おごり」「緩み」についても審判を下すときだ。そもそも、常道とは言いがたい今回の首相の「解散権」行使が、厚みを欠いた政策論争、「選びにくい」選挙状況を招いた点は指摘しておかねばなるまい。
 政治、政策に何を最も望むかは、人それぞれだ。ただ、どんな考えや不満をもっていても、票を投じなければ白紙委任と同じである。
 他人の選択した未来を生きるより、自分で選びたい。きっと誰もがそう思うはずだ。
 投票率の低さが目立つ20~30代の積極的な参加に期待したい。18、19歳にも投票年齢が広がった。若く、真っすぐな声を政治に届けてほしい。

[京都新聞 2017年10月22日掲載]

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