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温暖化適応法案  先進事例を支援すべき

 地球温暖化の影響にどう対応するか。理念法の色合いが濃いとはいえ、国の責任を明確にしたことは重要な一歩だろう。
 政府が「気候変動適応法案」を今国会に提出する。
 温暖化が進めば、異常気象の頻発や熱中症の増加などの影響がこれまで以上に深刻になる。
 温暖化の進行を止めるとともに、既に起きている変化に「適応」する対策も避けられない。
 法案は「適応」推進に向け、温暖化の影響に関する情報収集や分析を国の責任とし、自治体の具体的な取り組みを支援する内容だ。
 京都議定書からパリ協定に至る国際的な温暖化対策の枠組みは、二つの柱からなっている。
 二酸化炭素(CO2)などの排出を抑え温暖化にブレーキをかける「緩和」策と、温暖化がもたらす変化への「適応」策だ。 
 従来は、先進国は「緩和」策、発展途上国には「適応」が主要課題だったが、異常気象が頻発するようになり、先進国でも「適応」が急務になっている。
 英国やフランス、ドイツなどはすでに適応策を法制度化し、自治体や企業などの対策をバックアップしている。
 日本では、「緩和」は地球温暖化対策推進法で法的に裏付けられていたが、「適応」は法的位置づけがない状態だった。
 中心は、地域の状況に応じた「地域気候変動適応計画」策定を自治体の努力義務としたことだ。
 このため、環境省が中心となり適応についての情報を収集、提供する仕組みを強化する。
 自治体では既に実質的な「適応」の取り組みが進んでいる。滋賀県は高気温に適したコメ「みずかがみ」を開発した。徳島県は「県土保全」など八つの重点分野を設定。具体策を進めている。
 国は先進事例を紹介するだけでなく、実践する人の育成や資金面の支援にも注力してほしい。
 温暖化の影響分析の拠点となる国立環境研究所の充実も必要だ。 国際協力の推進も明記した。日本の自治体の実践を途上国で生かしてほしい。
 適応策を巡っては、温暖化が避けられない以上、温暖化の「ポジティブ」な側面を生かすべきという声がある。南日本原産の農作物を北日本で作れるようになるといった期待だ。
 しかし、気候変動の影響は予想をはるかに超える可能性が高い。CO2などの排出抑制が最も重要な対策であることに変わりはない。

[京都新聞 2018年02月22日掲載]

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