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2プラス2  日米連携を確認したが

 北朝鮮情勢が緊迫する中、日米の外務・防衛担当閣僚の安全保障協議委員会(2プラス2)が2年4カ月ぶりに開かれた。トランプ米政権下では初めての開催だ。
 トランプ大統領の「炎と怒り」発言など、米朝の指導者同士の言葉の威嚇が波紋を広げる中、外交・安全保障の実務を担う日米の閣僚が顔を合わせ、連携を確認した意義は小さくない。
 北朝鮮は米領グアム沖への弾道ミサイル発射を予告し、在日米軍基地への攻撃も示唆している。日米が足並みをそろえて対処することは重要である。
 日本側は、地上配備型の新たな迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を導入する方針を伝えた。昨年施行の安全保障関連法を踏まえ、同盟における日本の役割の拡大も表明した。
 だが、これらが北朝鮮の核・ミサイル開発の停止につながるかどうかは見通せない。日本の軍備増強を懸念する中国などとの緊張を高め、かえって地域を不安定にする可能性もある。安保政策全体のバランスと費用対効果に関する十分な検討が欠かせまい。
 イージス・アショアの調達には千数百億円かかるとされる。政府は2019年度からの次期「中期防衛力整備計画」に反映させる方針だ。先行して、自衛隊のイージス艦に搭載する改良型迎撃ミサイルの日米共同開発や、イージス艦を今の4隻から8隻に増やす計画も進めている。
 新たな体制によってミサイルの探知や迎撃の精度などが高まると政府は説明する。しかし、実際の運用開始には数年かかり、このところ想定以上の早さで発射能力を向上させている北朝鮮の抑止につながるか、懸念は拭えない。
 高度な装備は維持費も巨額だ。第2次安倍政権発足以降、防衛費は前年比0・8%超のペースで伸び、17年度当初予算には過去最大の5・1兆円を計上した。主に中国の海洋進出を念頭にしたものだが、すでに先進国で最悪レベルの財政状況の中、さらなる悪化要因となりかねないミサイル防衛強化が、国民的な議論のないまま進められることがあってはならない。
 「米国第一」を掲げるトランプ政権には、自国の防衛産業強化や雇用拡大の思惑から、同盟国との軍事協力を深めたい一面もあるのではないか。
 いずれにせよ、北朝鮮の非核化への確かなシナリオを描くことが不可欠だ。それなくして、防衛費増へ国民の合意は得られまい。

[京都新聞 2017年08月19日掲載]

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