水の環〜自然・暮らし・ひと〜 地下水-京を支える

かまくら作りに熱中する「針畑どんど」の参加者たち
(滋賀県朽木村中牧)

 「雪が少なくなった」という声をよく聞く。少しの積雪で都会の交通をマヒさせ、嫌われることの多い雪だが、降らないとなると気になる。京都、滋賀ではこのところ、スキー場やスケート場がいくつか閉鎖された。ウインタースポーツや雪遊び、雪がはぐくんできた文化にも、影響が及んでいる。何か雪に変化が起こっているのではないだろうか。

 冬から春へ。雪解け水が森から川に浸みだし、そして琵琶湖へと注がれ、豊かな恵みを届けてくれる。そんな雪に、源流域の住民と下流の都市住民たちが一緒に感謝しようと、滋賀県朽木村針畑地域の住民たちが作るNPO(非営利団体)「朽木村針畑山人協会」が今月7日、雪祭り「針畑どんど」を開いた。

 朽木村の針畑郷山村都市交流館「山帰来」に、京都や大阪から百人を超える人たちが集まった。あちこちでかまくら作りが始まる。どんどは、旧暦の小正月(1月15日)の伝統行事。針畑にかまくらを作る習慣はないのだが、雪を楽しむために取り入れた。

水の環-トーク
湖国の降雪パターン変化
トーク−滋賀県立大教授-伏見碩二さん
滋賀県立大教授
伏見 碩二さん

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写真

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 日が暮れるころ、大小10のかまくらが完成した。水の神、山の神をまつる大宮神社で採集した火がどんどに点火された。かまくらの神棚にも火をともし、水神に見守られながらの宴会が始まった。夜、54人が帰らずに、村に泊まり込んだ。

 「雪が、これだけの人を引き寄せる。2年前に始めた時には思いも寄らなかった」。かまくら作りを見守っていた朽木針畑山人協会の西澤明代表理事(56)は振り返る。

 針畑地域は、県内で有数の豪雪地域。高齢者世帯が多く、除雪作業はつらい。雪は負担でしかなかった。雪祭りは、こうした住民の雪への見方を、少しずつ変えてきた。

 2002年の第1回雪祭りで、そりに載せて材木を運ぶ「そり出し」を再現した。林業が主産業の針畑地域では、冬、切り出した材木や薪をそりで運び、いかだを組んで、雪解け水で増水した川に流したという。協会副代表理事の飯高恒夫さん(50)は「雪が降ると、仕事が進む、と祝った。それほど雪に依存していた」と話す。

 雪国の生活や知恵は、針畑地域に今も残る。

 家を雪から守る雪囲いは、板張りではなくカヤだった。保温効果で暖かいからだ。春になると、はずして屋根裏で乾燥し、屋根を葺く材料にあてた。針畑の各家に池があるのは、雪を溶かすためだけでなく、コイを飼って、調理し、冬のタンパク源にするためでもあった。針畑地域では家の建て方にも法則がある。屋根の向きも軒の高さも冬の雪の降り具合を考慮して決める。

 飯高さんは、来年の雪祭りに、かまくらの中で、古老と酒を酌み交わしながら、ゆっくりそんな話をしてもらいたい、と思っている。「雪を積極的に利用していた昔の生活や暮らしの知恵を、語り継がなければ。せっかくの雪の文化を消してはいけない」(2004.2.25)