京都新聞
:紙面特集

の ひ・み・つ
MIHO MUSEUM

伊藤若冲筆「達磨図」(江戸時代、縦78.6センチ横92.0センチ)

時空超えた聖なる色たち

 古代から近世における日本や世界の美術や工芸に表された「赤」と「青」を切り口に、人と色との関わりを考えるMIHO MUSEUM(甲賀市)の夏季特別展「赤と青のひ・み・つ」が30日から開催される。夏休み企画として、子どもも楽しめる工夫を凝らした体験型の展覧会だ。

 太陽や炎、血を連想させ古来、呪術などに使われていた「赤」、鉱石の入手が難しく憧れの色だった「青」。どちらの色も世界の多くの地域で信仰と結びつき、文化の違いを超えて「聖なる色」と捉えられてきた。

 また、赤と青はあらゆる色の中で最も強い視覚効果を持つと同時に、一方は動的、他方は静的なイメージという対極の側面を持つ。今回の特別展は、人類が色彩を手に入れ、美術品や装飾品、祭祀(さいし)の道具などに色 施していった歴史を探る。同館の収蔵品を中心に約125点を展示する。


ユーゴ(ベラクルス・メキシコ、600~900年)

 「はじまりの色」とした赤ゾーンでは、鉱石を砕いて作った辰砂(しんしゃ)やベンガラ(紅殻)などの顔料で着色したさまざまな「赤」45点を紹介する。古代メキシコの球技で用いられた「ユーゴ」や、中国・前漢時代の杯、日本の埴輪(はにわ)などのほか、縄文後期のみみずく土偶(重文)まで多岐にわたる。

 修復後初公開となる伊藤若冲筆「達磨(だるま)図」は、裏彩色による真っ赤な僧衣が特徴。「若冲の執着とも言える入魂の跡を感じる作品」(同館)という。

魚形容器(東地中海地域あるいはイタリア、1世紀)
脚付雲文耳杯(中国・前漢時代、紀元前206年~後9年)
みみずく土偶(縄文時代後期、重要文化財)=辰馬考古資料館蔵、撮影・藤森武
ハトホル形ペンダント(エジプト、紀元前16世紀~前11世紀)
河馬像(エジプト、紀元前21世紀~前17世紀)

 「はるかなる色」の青ゾーンは、古代オリエントで珍重された貴石ラピスラズリを用いたペンダントや、古代エジプトの青い焼き物の河馬像、コバルトで発色させた地中海地域の魚形容器など80点を展示。「青い石」への憧れと創造の挑戦をたどる。日本の翡翠(ひすい)の勾玉(まがたま)、中国・景徳鎮の染付磁器なども並ぶ。

 子ども向けには、さまざまな体験ゾーンやイベントを企画する。フェイスペインティングや青い石のアクセサリーを付けて「変身」したり、真っ赤な部屋や真っ青な部屋で赤や青のマントを着るコーナーも。週末には古代エジプトでも使われた本物のパピルス紙を使ったコースター作りや草木染めを使ったワークショップもある。

ベス神形容器(エジプト、紀元前7~前6世紀)
古染付花蝶文平鉢(明時代・17世紀、景徳鎮窯)
案内
                    
■会  期6月30日~8月26日 月曜休館(ただし7月16日は開館、同17日は休館)
■開館時間午前10時~午後5時(入館は午後4時まで)
■会  場MIHO MUSEUM(甲賀市信楽町田代桃谷300)TEL0748(82)3411
■入 館 料一般1100円、高校生・大学生800円、小学生・中学生300円(20人以上は各200円引き)
■主  催MIHO MUSEUM、京都新聞

子ども向けわくわくイベント

▼展示探検ツアー7月22、29日、8月5、12、19、26日の午前11時、午後1時、同2時(所要30分、対象5歳~高校生。無料・要予約)
▼色石のアクセサリー作り7月7、21日、8月18日(小学生以上、保護者同伴で未就学児も参加可。200円・予約不要)
▼パピルス紙のコースター作り(右写真)7月14日、8月4日(同上)
▼ワークショップ
「赤と青のめぐり合わせ」
7月28日、8月11、25日の午後1~3時。対象小学生~大人。美術家の青島左門氏を講師に草木染めの布を使って夢の回廊を作る。千円。定員20人(要予約)
【2018年6月27日付京都新聞朝刊掲載】