京都新聞
紙面特集

「絵描きの筆ぐせ、腕くらべ 住友コレクションの近代日本画」
泉屋博古館(特集)

菊池容斎《桜図》 弘化4(1847)年
竹内栖鳳《禁城松翠》 昭和3(1928)年

くせのある名画勢ぞろい

 数多い住友家の美術コレクションの中から、近代日本画の名品を集め、画壇を代表する日本画家たちの作品を比較鑑賞する企画展「絵描きの筆ぐせ、腕くらべ 住友コレクションの近代日本画」が26日から7月8日まで泉屋博古館(京都市左京区)で開かれる。

 江戸期までの日本画は、平安時代に始まる「やまと絵」、室町時代に中国画をもとに発展した「狩野派」、江戸中期に円山応挙らが興した「円山四条派」といった流派が主をなした。明治維新後、こうした流派は各種美術学校の登場で解体された。一方、開国の波は西洋絵画の流入を一気に進め、個性豊かな日本画家が次々に現れた。本展では、江戸末期から明治、大正、昭和時代の日本画家たちがそれぞれ、いかにして伝統的な日本画の技法を継承しつつ、西洋の美と融合させてきたのかを探る。

富岡鉄斎《古柯頑石図》
 明治45(1912)年
山田秋坪《柘榴花白鸚鵡図》
  大正9(1920)年

 菊池容斎(1788~1878年)は、江戸で狩野派、南蘋(なんびん)派、近畿で円山四条派、やまと絵派などを習得。「桜図」では、重量感あふれる樹木、繊細な花びら、かすみを帯びた背景に、さまざまな流派の技法が駆使されている。

 明治末から大正にかけて流行した文人画風の中で最も個性的な富岡鉄斎(1836~1924年)は、南画を基礎にしながらも、独創的な画法を貫いた。「古柯頑石図(こかがんせきず)」は豪快な筆遣いが画面を圧倒し、思いもつかない造形が近代を捉える。

 戦前の京都画壇を代表する竹内栖鳳(1864~1942年)は十代で円山四条派を学び、その後西洋の写実画法を積極的に取り入れた。徹底した観察から対象の本質に迫る画風が一世を風靡(ふうび)した。「禁城松翠(きんじょうしょうすい)」は皇居の松を手前に大きく配した大胆な構図と軽妙洒脱な筆致の混在が見どころ。山口蓬春(1893~1971年)は、新興大和絵会同人として、やまと絵の近代化に取り組んだ。「如月(きさらぎ)」は中国花鳥画を基にしながら、琳派(りんぱ)の墨たらし込み技法を取り入れ、省略と強調が画面を引き締める。

 東山魁夷(1908~99年)は、東京美術学校日本画科を経てドイツに留学し、日本美術の特質を深く自覚し、日本人の自然観を複雑な色の諧調で表現する独自の世界を完成させた。フィンランドの湖沼を描いた「スオミ」は、筆ぐせを見せない繊細なタッチが、清澄な空気感を醸し出す。

 このほか、鉄線描と水墨のたらし込みが見事な小林古径(1883~1957年)の「人形」、南画に写実技法を取り入れた山田秋坪(1876~1960年)の「柘榴花白鸚鵡図(ざくろかしろおうむず)」、柔かな筆遣いを見せる中西耕石(1807~84年)の「桃花流水図」も含め30件を展示する。

小林古径《人形》 昭和14(1939)年
山口蓬春《如月》 昭和14(1939)年
東山魁夷《スオミ》 昭和38(1963)年
案内
■会  期■ 5月26日(土)~7月8日(日)=月曜日休館
■開館時間■ 午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)
■会  場■ 泉屋博古館(京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24)
■主  催■ 公益財団法人泉屋博古館、京都新聞
■入 館 料■ 一般800円、大学・高校生600円、中学生350円、小学生以下無料
(20人以上は団体割引20%)

■ギャラリートーク■
5月26日午後2時(ナビゲーター 野地耕一郎泉屋博古館分館長)
■ゲストトーク■
6月9日午後2時(ゲスト 日本画家・大野俊明氏)
6月30日午後2時(ゲスト 日本画家・竹内浩一氏)
■問い合わせ■
泉屋博古館075(771)6411

【2018年5月25日付京都新聞朝刊掲載】