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指定暴力団会津小鉄会 弱体化も抗争懸念残る

報道部 上口祐也
会津小鉄会本部事務所を現場検証する京都府警の捜査員ら(6月15日、京都市下京区)
会津小鉄会本部事務所を現場検証する京都府警の捜査員ら(6月15日、京都市下京区)

 京都府内の暴力団情勢が混沌(こんとん)としている。指定暴力団6代目会津小鉄会は本部事務所(京都市下京区)で1月に起きた乱闘事件の後、幹部2人が「7代目」を名乗る内紛状態となり、京都府警が「壊滅の好機」として取り締まりを強化した。一方、9月には神戸市で神戸山口組と任侠(にんきょう)山口組の対立が原因とみられる射殺事件が起きるなど、全国で暴力団の抗争事件が相次ぐ。京都も予断を許さない状況で、市民の安全確保が大きな課題となっている。

 同会の内紛が表面化したのは1月上旬。府警によると、馬場美次6代目会長(76)=詐欺罪で実刑判決=の後継を巡り、同会傘下「心誠会」の原田昇会長(64)を7代目とする文書が各地の指定暴力団に出回った。馬場会長は完全否定し、本部事務所で組員同士が乱闘する事態に発展した。馬場会長は、2年前に山口組から分裂した神戸山口組の組長と「兄弟関係」にある。一方、山口組との関係を重くみる組幹部もおり、内部で山口組派と神戸山口組派による主導権争いが激化したという。1〜2月には、山口組派の原田会長と神戸山口組派の「いろは会」の金子利典会長(74)をそれぞれ7代目とする儀式が行われた。

 暴対法や暴力団排除条例の施行で、みかじめ料の徴収など暴力団の資金確保は難しくなった。会津小鉄会は長年、府内最大の組織力を有してきたが、近年は山口組や神戸山口組が京都に進出して祇園や建設関係の利権を狙い、府内の暴力団情勢の変化は大きい。

 府警によると、同会の組員は約170人(2016年末時点)で、この10年間で約600人も減った。同会の元組員は「内紛が続けば、組織として存続していけるのか分からない」と打ち明ける。

 府警は内紛を好機ととらえ、取り締まりを加速させる。乱闘に関わったとして今年6月以降、馬場会長、神戸山口組の組長や山口組系幹部ら計26人を次々に逮捕した。同会傘下の元組長(55)は「組を運営し続けてもメリットはない」と、乱闘事件後に組を解散した。捜査幹部は「大きなダメージを与えた」と手応えを語る。

 神戸市の射殺事件は白昼、住宅街にある組幹部宅近くの路上で起きた。京都にも山口組分裂後に対立する各グループの関係先がある。伏見区にある心誠会事務所近くに住む70代女性は「危害が及ばないか心配」と、抗争の巻き添えを懸念する。京都市などの申し立てを受け、京都地裁が4月と9月、会津小鉄会本部事務所と心誠会事務所の使用を禁じる仮処分を決定したのも、こうした動きと無縁ではない。

 元山口組顧問弁護士の山之内幸夫さん(71)は「全国で山口組分裂の影響を最も受けたのが会津小鉄会。抗争の火だねは残る」と指摘する。府警には、流動化する暴力団情勢を注視するとともに、行政と連携し、住民の不安を払拭(ふっしょく)する取り組みを求めたい。

[京都新聞 2017年11月22日掲載]

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