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女子アスリートの健康 相談できる環境整備を

運動部 伊藤恵
全国高校駅伝で力強い走りを見せた女子選手たち(24日、京都市右京区・西京極陸上競技場)
全国高校駅伝で力強い走りを見せた女子選手たち(24日、京都市右京区・西京極陸上競技場)

 駅伝シーズンを迎え、京滋でも熱い戦いが繰り広げられている。12月には京都市で全国高校駅伝、野洲市で全国中学駅伝が開かれた。来年1月14日には第36回全国女子駅伝(京都市)が控える。寒風をものともしない女子ランナーたちの姿にはいつも感動させられる。一方、厳しい練習と、選手の健康を両立させる難しさも耳にする。

 大量のエネルギーを消費する持久系スポーツは、無月経、骨粗しょう症といった女性特有の健康問題と隣り合わせでもある。食事で十分なエネルギーが確保できていない状態が続くと、脳下垂体からの黄体化ホルモンの分泌が抑えられて排卵がなくなり、月経不順や無月経の一因となる。さらに、無月経になると卵巣から分泌されるホルモンのエストロゲンが低下して骨密度が下がり、疲労骨折のリスクが高まるとの指摘がある。

 日本産科婦人科学会と国立スポーツ科学センター(JISS)が2014年、アスリート2321人を含む女子大学生計2836人に行った調査では、無月経の人の割合は日本代表レベルの選手で6・6%、地方大会レベルでも6・1%。スポーツをしない女性の1・8%と比べ高かった。競技別では体操などの審美系で16・7%、陸上長距離などの持久系で11・6%と、低体重になりやすい競技で無月経が多い傾向にあった。

 近年、女性アスリート支援の動きは広がっている。日本産科婦人科学会や日本体育協会などで構成する女性アスリート健康支援委員会は、起こりやすい疾病、栄養指導、ドーピングについて研修を受けた産婦人科医の一覧をホームページで公開。京都府で46人、滋賀県では22人の医師の情報を確認できる。

 陸上長距離の元実業団選手でもある龍谷大の河合美香准教授(スポーツ栄養学)は、女性ランナーが抱える課題の把握に取り組む。全国の選手や市民ランナーを対象に、練習内容や食事、月経不順や貧血の有無、対処方法などを尋ねる調査を準備しており、「トレーニングの内容によって必要な食事は異なる。サプリメントや薬の使用に関しても、スポーツの現場と専門家で議論が必要。両方をつなげていければ」と話す。

 JISSは16年から、スポーツ関係者向けの知識をまとめた冊子を発行し、京都府では競技団体や府立高校に配布されている。冊子では「15歳になっても月経がない」「3カ月以上月経が止まっている」など10項目のうち一つでも当てはまれば、医師に相談するよう呼びかけている。

 中、高、大学の部活動では指導者の知識にばらつきがあり、男性指導者が月経や体形の話題に触れにくいという課題もある。学校関係者や保護者も含め、最低限の知識を持つ人が増え、選手が悩みを相談しやすい環境が整うことを願う。

[京都新聞 2017年12月27日掲載]

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