The Kyoto Shimbun
取材ノートロゴ

福知山市文書廃棄問題 職員の意識改革徹底を

北部総局 増山遼
記者会見で文書が廃棄された経緯を説明する市教育委員会の幹部ら(5月23日、福知山市内記・市役所)
記者会見で文書が廃棄された経緯を説明する市教育委員会の幹部ら(5月23日、福知山市内記・市役所)

 「市民の権利を十分に尊重するものとする」。市民が行政機関に公文書の公開を求める、いわゆる情報公開制度の運用にあたって、福知山市が定める情報公開条例に、この一文がある。しかし、同市の中学校で明らかになった学校日誌廃棄問題を取材して、市教育委員会にこの理念がしっかりと根付いていないことが感じられた。

 廃棄された学校日誌は2012年度の南陵中の日誌で、市内の女性が今年2月14日に、市教委に対して文書の公開請求を行った。女性は、娘が在学中にいじめ被害に遭い、学校側の対応も不十分だったとして、市を相手に損害賠償を求めて係争中で、日誌は証拠として裁判所に提出する予定だった。

 福知山市情報公開条例では、請求のあった日から15日以内に文書を開示するとし、最大でも60日以内に開示するよう定めている。さらに延長する場合は請求人への通知が必須となる。また、市文書取扱規定と合わせ、公開請求があった時点で、当該文書に対して分類や保存など適切な管理を行うものと定めている。

 しかし、女性が請求した学校日誌は、公開期限の2カ月となる4月14日になっても開示されなかった。市教委からの延長通知はなく、不審に思った女性が数回問い合わせたところ、5月10日、学校日誌が5年の保存期間満了を理由に、4月2日時点で破棄されていたことを知らされた。

 一連の経緯について、市教委は「(女性による)請求が741件と膨大だった」ことなどを理由に挙げる。日誌を保管する学校現場に照会を行ったのも、公開期限前日の4月13日だったと説明するが、1日で公開に向けた処理が完了できるとも思えず不自然で、疑問点が多く残る。

 この問題では、市教委職員らの条例順守の意識欠如が非難されても仕方がない。条例にのっとり、即座に学校側へ照会して文書の保存に努めていれば事態は防げたはずだ。期限延長しても通知を行わないなど、ずさんな対応も目に余る。市教委は「意図的な隠蔽(いんぺい)ではない」と釈明するが、勝手な都合で延長を繰り返し、保存年限を越えて廃棄されたとなれば、裁判の証拠隠滅を疑われても仕方がない。

 市は問題を受け、ネット上での掲示などを通じて、全職員に条例順守の徹底を呼び掛けたが、持続的な効果があるとは思えない。開示請求を受け付けてからの手順を明確に記したマニュアルの整備などが、早急に求められる。

 森友問題における文書改ざんや、陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報隠蔽問題など、公文書の管理体制が厳しく問われている。地方自治体といえども、ずさんな対応が許されるわけではない。市民の「知る権利」を守るためにも、市教委には改めて職員の意識改革や、情報公開に関するルール作りを徹底してほしい。

 

[京都新聞 2018年7月4日掲載]

▼前の記事取材ノートからTOP次の記事▲

各ページの記事・写真は転用を禁じます
著作権は京都新聞社に帰属します
ネットワーク上の著作権について―新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に(日本新聞協会)
電子メディアおよび関連事業における個人情報の取り扱いについて
京都新聞
京都新聞TOP