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コラム凡語:ズワイガニの少子化

 作家の渡辺淳一さんは北海道育ちのため生前によくカニを食べた。その経験から最もうまいカニは毛ガニと信じていたが、京都で松葉ガニと出合って自信を打ち砕かれたそうだ▼何も付けずに生のまま炭火で焼いた味は、淡泊で香ばしく、「艶めいた絶世の美女のごとき品のよさ」だったと、エッセー集「これを食べなきゃ」に書いている▼とれる場所によって、松葉、間人(たいざ)、越前などの名が付くが、標準和名はズワイガニ。食通ならずとも待ち望む冬の味覚だ。今年も漁が解禁され、京丹後市の間人の初競りでは5匹入り1箱で40万円の最高値が付いたと、おとといの本紙にあった▼ところが、ズワイガニの資源量は来年以降減り、3年後に半減する恐れがあるという。日本海区水産研究所(新潟市)によると、未成熟な稚ガニの数が昨年の6割程度しかなく、過去20年で最低水準になっている▼産卵可能な雌の数は減っていないが、何らかの理由で稚ガニが生き残れなくなっているそうだ。ブリによる捕食や海水温上昇の影響、他国による密漁などの可能性を指摘する専門家もいるが、確かなことは分からない▼漁獲制限などで長年資源保護に努めてきた漁業者らにすれば、落ち着かない気分だろう。冬の美味を守るのにズワイガニも少子化対策の必要が出てきた。

(京都新聞 2018年11月09日掲載)

【 2018年11月09日 15時00分 】

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