凡語 京都新聞トップへ

憎悪犯罪

 ニュージーランド(NZ)のクライストチャーチは同国第2の都市だが人口は38万人ほどだ。緑が多く、郊外には2千メートル級の山がある。これからは北半球からのスキー客でにぎわう▼そんな穏やかな街のモスクで銃乱射事件が起き、50人が犠牲になった。28歳の容疑者はイスラム教徒を敵視する声明をインターネットで公開していた。憎悪犯罪の可能性が濃厚である▼容疑者は銃撃を撮影してネットで公開し、逮捕後も裁判所で「白人の力」を意味する指サインを誇示してみせた。すさまじい悪意に目を覆いたくなる▼「平凡な白人」を自称して、イスラム移民が社会を乗っ取る、と主張している。「平凡な私たち」と外国人を対比し、「私たち」が割を食っている、というのは典型的な外国人憎悪の思考である▼容疑者は米国のトランプ大統領を目標として絶賛しているという。トランプ氏の排外主義的な政策は国境を越えて影響している。その米国から、日本でもヘイトスピーチ(憎悪表現)が増えている、という指摘があった▼米国務省の最新の報告書。京都の朝鮮学校の前で罵詈(ばり)雑言を繰り返した団体の男が名誉毀損(きそん)で起訴されたことに触れている。国際水準では日本も懸念される事態ということだろう。憎悪の波及を止める取り組みを強めねば、と思う。

[京都新聞 2019年03月19日掲載]

バックナンバー


凡語 書き写し
 
著作権は京都新聞社に帰属します。
ネットワーク上の著作権について(日本新聞協会)