社説 京都新聞トップへ

消費税10%  影響抑える対策着実に

 安倍晋三首相がきのう、消費税率を来年10月に8%から10%へ引き上げる方針を表明した。
 これまで10%への増税を2度先送りしていた。3度目となれば批判は免れず、経済運営での不退転の決意を示したといえる。
 このタイミングでの表明は、デフレ脱却とアベノミクスを成し遂げるため、万全の準備を整える狙いがあるとみられる。
 国内経済が回復基調にあることや、来年夏の参院選での争点化回避の思惑も判断材料となった。
 増税によって家計の負担が重くなるのは間違いない。だが、高齢化で膨らむ社会保障費への財源確保も避けて通れない課題だ。
 政府は引き上げに向けた環境を整え、経済への影響を抑える手だてを着実に進めてほしい。
 とりわけ重要なのが、景気の腰折れを防ぐ対策だ。2014年4月に8%に引き上げた際、駆け込み需要の反動で個人消費が大きく落ち込んだ経緯がある。
 景気対策の大枠は11月中にまとまる予定で、住宅や自動車の購入支援、商店街の活性化などが柱になるという。
 参院選を控え、与党内では積極的な財政出動を求める声が根強い。とはいえ効果の薄い対策ばかり並べれば財政再建は遠のく。
 ばらまきで予算が膨張するのでは本末転倒だ。不要な支出を紛れ込ませてはならない。効果的な施策に絞り込むべきだ。
 初めて導入される軽減税率制度は外食、酒類を除く飲食料品などを8%に据え置くものだが、事業者の準備の遅れが懸念されている。消費税は10%と8%の複数税率となるため、レジの導入や経理事務のシステム変更が必要となる。
 だが、日本商工会議所の調査では8割超の中小企業が「準備に取り掛かっていない」と回答した。
 予想される事態を事前に把握し、混乱回避に努めたい。従業員教育の徹底や消費者への周知も欠かせない。
 消費税は、少子高齢化を支える重要な財源だ。今回の税率引き上げは12年の「社会保障と税の一体改革」で決まった。社会保障制度を維持させるための財源確保が目的だったはずだ。
 しかし、安倍首相は昨年秋、教育無償化などに税収の一部を充てることを決めた。使途が変われば将来へつけを回すことにもなる。増税実施を踏まえ、国民が安心できる社会保障の将来構想も併せて国民に示す必要がある。

[京都新聞 2018年10月16日掲載]

バックナンバー
 
著作権は京都新聞社に帰属します。
ネットワーク上の著作権について(日本新聞協会)