京都新聞
紙面特集

「絵になる姿」展
府立堂本印象美術館

秋野不矩「京近江名所絵尽」 1984年 祇園新地甲部歌舞会蔵

洗練された女性美

 女性美は、日本画の世界で伝統的な画題の一つ。画家たちは、生命感に満ちた少女から働く女性、あでやかな花街の芸舞妓、成熟した女性まで移ろいゆく年代のきらめきを装いの中に捉えてきた。府立堂本印象美術館「絵になる姿―装い上手な少女・婦人・舞妓たち」展は大正、昭和、平成の京都で活躍した日本画家が表現した多彩な女性像を紹介する。

 「着倒れ」の町・京都は染織産業が発展し、着飾る文化、洗練された美意識をはぐくんだ。画家の手によって絵に収められた女性たちはその優美な姿態とともに、時代性や風俗、季節感も伝えた。今展は画家17人の名品計46点を紹介する。

 大正期の京都画壇で和装をモダンに着こなす女性像を得意としたのが中村大三郎だ。「編物」は、洋室でソファにもたれて編み物に興じる着物女性がモデル。グラデーションの着物の色彩が美しい。

 昭和に入って活躍した女性画家は、柔らかな視線で少女や女性を表現した。三谷十糸子の「朝」は赤い着物の子どもとウサギが愛らしい。由里本景子の「娘」は三味線を前に置いて正座する女性。稽古に臨む引き締まった表情が印象深い。戦後の三輪良平は「八朔(はっさく)」で、日傘を手に集まる黒紋付きの舞妓たちを描いた。

 京の春を彩る「都をどり」のポスターは、日本画家が手掛けてきた。その原画10点を展示する。秋野不矩の「京近江名所絵尽」は扇を手に見返る舞妓を、斜め後ろの絶妙の角度から描く。襟足のおしろい、華やかなかんざし、香気がぱっと立つよう。平成に担当した三輪は、桜花の枝を構えてポーズをとるかわいらしい舞妓の姿を切り取る。

 描かれた女性の表情、着物の模様の意味、生地の手触りを想像しながら、絵の中の世界が楽しめる。

中村大三郎「編物」 1928年 個人蔵
木村斯光「お手玉」 昭和期 元日彰幼稚園蔵(京都市学校歴史博物館管理)
三輪良平「八朔」 2003年 京都国立近代美術館蔵
菊池契月「朝爽」 1937年 京都国立近代美術館蔵
三輪良平「水映桜花絵巻」 2009年 祇園新地甲部歌舞会蔵
三谷十糸子「朝」 1933年 京都国立近代美術館蔵
案内
■会     期4月3日(水)~5月19日(日)月曜休館
4月29日と5月6日は開館、7日は休館
■開 館 時 間午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)
■会     場京都府立堂本印象美術館(京都市北区平野上柳町)
■主     催府、府立堂本印象美術館、京都新聞
■入  館  料一般500円(400円)、大学・高校生400円(320円)、中・小学生200円(160円)
※かっこ内は20人以上の団体。65歳以上(要証明)と障害者手帳を持参の人(介護者1人含む)は無料
■講  演  会「写真家が見た〈芸・舞妓の美〉-花街を撮り続けて45年」=5月3日午後2時、溝縁ひろし氏(写真家)。同館東隣の旧堂本印象邸。定員は40人(当日午後1時から同館ロビーで整理券配布)。要入館券。
■ギャラリートーク4月20日、5月12日。いずれも午後2時、同館2階展示室。要入館券
■同 時 開 催「堂本印象の女性像」
■問い合わせ府立堂本印象美術館075(463)0007
【2019年4月2日付京都新聞朝刊掲載】