京都新聞
 紙面特集

所蔵品展 美の饗宴 若冲と祈りの美

細見美術館
伊藤若冲「花鳥図押絵貼屏風」 江戸中期
重要文化財「刺繍大日如来像」 鎌倉時代

生命への賛歌

 江戸絵画を代表する絵師伊藤若冲(1716~1800年)や宗教美術のコレクションで知られる京都の細見美術館で所蔵品展「美の饗宴(きょうえん) 若冲と祈りの美」が27日、始まる。若冲と信仰の造形を通じて、美の世界を探究した先人の精神に触れる。

 同美術館は、実業家の細見古香庵(1901~79年)による日本美術の収集をもとに98年に開館した。以後、3代にわたるコレクションの中核、琳派や若冲など江戸絵画を早くから紹介し、神仏の美も多彩な企画で公開してきた。

 同展では美術館が誇る若冲の名品18点を一堂に披露する。初期の代表作「糸瓜(へちま)群虫図」は修復したばかり。糸瓜は青々しく、虫たちも生気を増してよみがえった。若冲ならではの生命の躍動にあふれる「花鳥図押絵貼屏風(びょうぶ)」や「雪中雄鶏図」をはじめ、豊かな形をたたえた野菜や草花、小さな生物たちを表現した絵画が並ぶ。

 一方、祈りの心を形に昇華させた宗教美術も展示する。重要文化財「刺繍(ししゅう)大日如来像」は、本物の毛髪を縫い糸に如来の髪や眉を刺繍し、表装に唐花唐草文をあしらった優品だ。山形県羽黒山・出羽神社の御手洗池出土の和鏡「羽黒鏡」のうち、同館は40面を所蔵する。全40面出品するのは今回が初めて。直径約10センチの銅鏡には、大和絵に通じる繊細優美な花鳥文様が装飾される。

 若冲と宗教美術の根源にある日本古来の自然への敬意、純粋な信仰、生きとし生けるものへのまなざしが伝わってくる。

伊藤若冲「糸瓜群虫図」 江戸中期

重要文化財「線刻十二尊鏡像」 平安後期
伊藤若冲「雪中雄鶏図」 江戸中期
重要文化財「羽黒山御手洗池出土銅鏡」のうち「水草蝶鳥鏡」 平安後期
重要文化財「金銅透彫尾長鳥唐草文華鬘」 鎌倉前期
案内
■会     期4月27日(土)~6月16日(日)月曜休館(4月29日、5月6日は開館、7日は休館)
■開 館 時 間午前10時~午後6時(入館は午後5時半まで)
■会     場細見美術館(京都市左京区岡崎最勝寺町)
■主     催細見美術館 京都新聞
■入  場  料一般1300円(1200円) 学生1000円(900円)
かっこ内は20人以上の団体
■講  演  会「伊藤若冲筆『糸瓜群虫図』を読み解く」 5月25日午後2時、みやこめっせ地下1階大会議室。講師は岡野智子・同館上席学芸員。要申し込み。有料。

【2019年4月25日付京都新聞朝刊掲載】