京都新聞
 紙面特集

横山華山展 A Superb Imagination at Work

京都文化博物館

喜びの声が聞こえる。

祇園祭礼図巻(上巻・部分)個人蔵
紅花屏風 右隻(部分) 文政6(1823)年 山形美術館・(山) 長谷川コレクション(展示は8月3~17日)

 夕涼みの人をさらりと描いたかと思えば、端正な山水画、西洋画風の富士山や表情豊かな動物も描く。祇園祭の情景を、神輿(みこし)や山鉾の懸装品、人々の表情まで詳細に描いた「祇園祭礼図巻」(上・下)は圧巻だ。

 絵師・横山華山(1781/4~1837)は江戸後期の京都で活動した。曾我蕭(しょう)白に親しみ、岸駒(がんく)に入門し、呉春にも私淑(ししゅく)した。多様な技術を習得する一方で既存の流派には属さず、自由で個性的な画風を確立した。本展では華山の芸術を人物、花鳥、風俗など主題ごとに紹介する。

 監修した頴川(えがわ)美術館の八反裕太郎学芸員は「ジャーナリズム的感覚を持っていた」と分析する。紅花の生産過程を描いた「紅花屏風(びょうぶ)」は東北へ取材旅行した。違う季節の工程を精密に描いており、複数回訪ねたと考えられる。

 「祇園祭礼図巻」の下絵には、山鉾の懸装品の図様、素材、由来などが詳細にメモされる。華山は数基ずつ何年もかけて取材したのだろう。完成した図巻は絵画として美しいだけでなく、歴史資料たり得る正確さを備えている。

 華山は確かな技術と観察力で「何でも描ける」人だった。一世代前の曾我蕭白や伊藤若冲のような天才絵師の系譜に連なるだろう。だがその目は常に市井の人々に向いた。花見の宴、農事、盆踊り。華山の作品からは画中の声さえ聞こえるようだ。卓抜した技を持つリアリストの筆は、人の営みを描くとき、最も喜びに満ちて輝いたのだろう。

富士山図 個人蔵
桃錦雉・蕣花猫図 泉涌寺蔵
花見図 個人蔵
寒山拾得図 ボストン美術館(ウィリアム・ビゲローコレクション)Photograph (C)2019 Museum of Fine Arts, Boston

案内
■会     期7月2日(火)~8月17日(土)。7月8、22、29日休館。※展示替えあり。
前期=7月2~21日、後期=7月23日~8月17日
■開 室 時 間午前10時~午後6時。金曜日は午後7時半まで(入場は閉室各30分前まで)
■会     場京都文化博物館(京都市中京区三条高倉)
■主     催京都府、京都文化博物館、京都新聞、日本経済新聞社、テレビ大阪、BSテレビ東京
■入  場  料一般1400円(1200円)、大学・高校生1100円(900円)、中・小学生500円(300円)。
かっこ内は前売り、20人以上の団体。障害者手帳提示の人と付き添い1人まで無料
■問 い 合 わ せ京都文化博物館075(222)0888

関連イベント

■講  演  会7月6日=「祇園祭礼図巻」と祇園祭の歴史 講師は吉田雅子氏(京都市立芸術大教授)、八反裕太郎氏(本展監修・頴川美術館学芸員)、橋本章氏(京都文化博物館学芸員)▽13日=「忘れられた天才絵師」 講師は森道彦氏(京都文化博物館学芸員)▽8月10日=「京と東北をつなぐ紅花の風景」 講師は土生和彦氏(宮城県美術館学芸員)。いずれも午前10時半から、京都文化博物館3階フィルムシアターで。定員150人。無料。同展入場券(半券可)が必要。当日先着順。
■祇園祭宵山記念
  特別観覧会
7月16日午後5時半 学芸員による「祇園祭礼図巻」解説(40分間)後、貸し切りで特別観覧。1600円(絵はがき付き)。定員80人。セブンチケット、ローソンチケットにて販売。
■ギャラリートーク7月19、26日、8月2日各午後6時から30分程度。申し込み不要。当日の入場者に限る。

【2019年6月28日付京都新聞朝刊掲載】