日本人の忘れもの 知恵会議  ~未来を拓く京都の集い~

取り組みと目的

日本人の忘れもの 知恵会議
~未来を拓く京都の集い~ について


明治維新後、日本は欧米など西洋文化を追い求め、近代化への道をひた走りました。第2次大戦の敗戦を機に米国を中心とした欧米文化の吸収力は、単なるあこがれや模倣ではない自国文化として昇華し、その原動力は経済大国といわれるまでになりました。
一方で経済、文化などのグローバリズムがすすむ中で、昨今の混沌とした空虚感に満ちた世相を顧みると、我々日本人が悠久の歴史のなかで培ってきた"心"までも捨て去ってしまったのではないかとさえ思われます。
我々が置き去りにしてきた"心"とは、たとえば"大自然"にいのちが宿るとする"山川草木悉皆成仏"の考え方であり、質素な生活を心がける"始末のこころ"、四季を通して自然と共生し生活する"生き方"、 道徳観や倫理観など人格形成に影響を及ぼす"しつけ教育"、"読み書きそろばんなどの基礎教育"、合理化を追求することで失われた"もてなしの心や遊び心"です。
このような日本人が持っていた"心"は近代化の道でその多くが置き去りにされ、便利さや損得など個人や団体、ひいては国家のエゴを正当化する社会の流れになり、現代の希薄な人間関係を招いたのではないでしょうか。
京都は1200余年の歴史に裏打ちされた生活の知恵をもとに、文化を創造してきた街であり、文化、経済、宗教、教育など様々な分野の"日本人の心"が今なお残る街です。

2011年の東日本大震災という災厄以降、あらためて日本人の絆や、思いやりの心、不屈の精神力などが問われています。

このような考えのもと、京都新聞では2011年より、文化、経済、宗教、教育など様々な分野の"日本人の心"が今なお残るこの京都から「日本人の忘れもの」を取り戻すキャンペーンを2年間実施し、現代日本人が忘れたもの、取り戻すべき心、新たに必要な価値観は何かを発信してきました。そして、本年、これまでの「日本人の忘れもの」キャンペーンの考え方を継承し、発展させていくため、これまでに蓄積した数多くの知恵から未来を生きるために必要となるものを模索する「日本人の忘れもの知恵会議 ~未来を拓く京都の集い~」を発足することにいたしました。同会議では、趣旨にご賛同いただいた文化人の方々や企業、団体の代表者の方々とともに、これからの社会において必要なことは何か、未来(次世代)に伝えていくべきものは何かを考え、発信し続けていきたいと考えています。


主催:京都新聞
企画協力:株式会社日商社