京都新聞
紙面特集

日文研コレクション 描かれた「わらい」と「こわい」展
-春画・妖怪画の世界-
細見美術館

 日本人は古来、目に映るものだけでなく、形のないものも視覚化してきた。笑いと恐怖。実は表裏一体の両者も、日本人が愛するモチーフだ。国際日本文化研究センター(京都市西京区)が誇る春画と妖怪画のコレクションから精選した150点を一堂に公開する「描かれた『わらい』と『こわい』」展が16日、左京区の細見美術館で開幕する。

絵師不明「地獄草紙絵巻」(部分) 通期
福田大華(写)「長谷雄草紙」(部分) 3、4期
英一蝶「妖怪絵巻」(部分) 1期

 2年前、同館で開かれた「春画展」は、先駆的に研究を進めてきた日文研も全面的に協力し、大きな話題を呼んだ。ただ、日文研が集めていたのは春画だけではない。春画同様、長く学術領域から外されていた怪異、妖怪の造形図像も、数多く収集してきた。

 相反するように思える「わらい」と「こわい」が地続きと思わせる春画が、初代歌川豊国「絵本開中鏡」だ。男が抱き寄せるのは、骸骨だ。美しい女性もいずれは、こうなるということなのか。悲劇でもあり、喜劇でもある。絵画を通じて、性と死、生と死の現実が突きつけられる。

 とはいえ、春画は笑いにあふれている。新たに確認され、初展示される鈴木春信「風流艶色真似(まね)ゑもん」の続編、磯田湖龍斎「俳諧(はいかい)女夫まねへもん」は奇想天外な物語だ。豆のように小さくなった人が男女のねやに忍び込み、色道修行に励む。全24図中、4図を展示する。うち3図は初公開だ。

 春画を含め日本の絵画空間には、妖怪や幽霊、もののけたちが自由に出入りしてきた。英一蝶「妖怪絵巻」、北斎季親「化物尽(ばけものづくし)絵巻」には、なんだか不思議な形状の妖怪、生き物が描かれる。なぜか彼らは親密で愛らしい姿をしている。また、幕末のおもちゃには妖怪モチーフが人気で、それをアレンジした大人向けの玩具絵も並ぶ。

 笑って、時にひやりと。緊張と弛緩(しかん)を楽しみながら、会場を巡りたい。

磯田湖龍斎「俳諧女夫まねへもん 九」
(部分) 1、2期
鈴木春信「風流座敷八景 台子夜雨」
(部分) 1、2期
山本光一 「滑稽百鬼夜行絵巻」(部分) 通期
北斎季親「化物尽絵巻」(部分) 通期
案内
■会  期10月16日(火)~12月9日(日)月曜休館 展示替えあり
▷1期=10月16~28日 ▷2期=10月30日~11月11日 ▷3期=11月13~25日 ▷4期=11月27日~12月9日
■開館時間午前10時~午後6時(土曜は午後8時まで)
※入館は各1時間前まで
■会   場細見美術館(京都市左京区岡崎最勝寺町)
■主   催細見美術館 国際日本文化研究センター 京都新聞
■入 場 料一般1500円(1400円) 18歳未満は入館不可
かっこ内は20人以上の団体、障害者手帳のある人
【2018年10月14日付京都新聞朝刊掲載】