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地方議員の政務活動費 統一地方選の判断材料に

報道部 小川卓宏
さまざまな名目に政務活動費を支出している京都府議たちが働く議会棟(京都市上京区)
さまざまな名目に政務活動費を支出している京都府議たちが働く議会棟(京都市上京区)

 全国で地方議員の政務活動費の不適切使用が問題となる中、京都新聞は、多額の政活費が支給されている京都府議会と京都市議会の2017年度分の使用実態について、企画「私たちの自治」で取り上げた。所属政党の機関紙購入や政治色の強い団体会費、視察へなど、制度上は「適正」とされる支出について「府民理解を得られるのか」との思いで記事にした。政活費の原資は税だ。使い道や理由の説明からは、税支出に対する議員の意識が読み取れる。

 共産党のしんぶん赤旗をはじめ機関紙は党の資金源で、党への理解を広める道具だ。選挙前に購読を頼まれ、自費で買ってあげた府民もいるのではないか。両議会の共産党、自民党、公明党の計16人が自党の機関紙購入に政活費を充て、「論戦に役立てている」「切り抜き用」などと説明したが、納得はできない。

 保守系団体、日本会議への会費支出も目立った。ある府議は「会の月刊誌を通じ、保守議員としての見識を高めるのに役立つ」と正当性を主張した。では、得られた見識をどう府政に生かしているのか。支出した22人分の報告書を熟読したが分からない。うち10人の支出理由の報告書は書き写したように同じ文面で、不誠実ささえ感じた。

 視察では、米国やイタリアをはじめ複数の議員が各地に行っていた。視察を踏まえ考えた政策を記述した報告書もあったが、A4判1枚に視察日程と数行の感想を書くだけなど「物見遊山では」との印象しか受けないものもあった。

 これらの支出にはいずれも議会事務局が「適正」のお墨付きを与えている。事務局は議員から提出された領収書や活動報告書などを議会ごとの「マニュアル」に照らしてチェックし、問題があれば公開前に修正を求める。ある市議は人権啓発映画の鑑賞費の支出を申請し「映画鑑賞への支出は市民理解を得られない」と却下された。チェック機能は一定働いている。

 ただ、そのチェックは書面確認にとどまり、限界がある。今年5月、ある府議が2016年度の政活費で神戸市を視察した際、支出を禁じられている選挙活動を行ったのに往復運賃全額を政活費で充てていたことが判明した。報告書に選挙活動の記載はなく、事務局は見抜けなかった。府議本人が不適切支出と認めたのは、会員制交流サイト(SNS)に掲載されていたポスター張り現場の写真を記者が確認してからだ。

 不正は論外だが、チェック機能は万全ではなく、政活費の支出の是非は議員個人に委ねられている。「適正」とされる同じ機関紙や会費への支出でも、自制する議員や、支出理由を丁寧に説明する議員もいる。この違いは、各議員が税の重みをどう捉えるかの違いに通じるのではないか。

 税を住民生活にどう生かすかを考えるのが議員の仕事だ。来春は統一地方選。インターネットでも公開が進む政活費収支報告書は、(現職に限られるが)議員選びの身近な判断材料の一つとして活用できる。そう確信している。

[京都新聞 2018年8月22日掲載]

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