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Vリーグ 集客や盛り上がり、課題多く

運動部 伊藤恵
女子ファイナル3の東レ対JT。チーム関係者以外の一般席(奥)は空席が目立った=3月31日、京都市北区・島津アリーナ京都
女子ファイナル3の東レ対JT。チーム関係者以外の一般席(奥)は空席が目立った=3月31日、京都市北区・島津アリーナ京都

 「バレーボールのビジネス化」を掲げて昨秋に発足したVリーグ1部(V1)が4月に閉幕した。都道府県協会が試合開催権を持ち、チームが全国各地を「巡業」していた方式から、チームがリーグから開催権を譲り受けて収益を上げ、ホームゲームを増やしていくことが今改革の柱。2020年東京五輪での活躍が期待される選手たちの熱戦が続いた一方、京滋のアリーナでは集客や盛り上がりの面で課題が多かったと感じた。

 象徴的だったのは3月30、31日に島津アリーナ京都(京都市北区)で開催された女子の「ファイナル3」(準決勝)。入場者は30日が1669人、31日が1689人だったが、両日とも過半数の約940人は対戦した東レとJTの会社関係者による応援団だった。5千人以上収容できる館内は、一般客が座る1階アリーナ席や2階席の応援団エリア以外、空席が目立った。川崎市で2日間行われた男子ファイナル3の入場者も、1日千人前後と落ち込んだ。

 準決勝などのプレーオフは中立地開催となり、日本バレーボールリーグ機構(V機構)が催した。試合運営を委託された京都府協会の河本信正副会長は「前年まで男女の準決勝を同会場で行っていたが、今年は別会場になったことが響いた」と話す。V機構も「会場の確保が遅れ、開催方式や広報戦略を十分に検討できなかった。設備投資などで予算が切迫し、宣伝にかける予算や時間が十分でなかった」と反省点を挙げる。

 地域密着につながるホームゲームの数も目に見えて増えた印象は薄い。女子の東レはレギュラーラウンド20試合のうち、ホームの大津市での試合が3試合と昨季から1試合増えただけ。主要な工場がある「サブホームタウン」を含めても5試合にとどまった。

 開催権について、東レは昨季までホームゲームを運営していた滋賀県協会に譲渡する形を取った。試合告知やチケット販売は両者で協力し、当日の場内整理などは県協会が担った。東レ以外のカードも含め1日2試合が行われた日は2802人が入ったが、1試合の日は1800人程度。フロアを保護するなどの理由で、席上での飲食は原則禁止とした。県協会の浮田豊史副会長は「バレー界は食べながら観戦する文化がない。それも変えていかないといけないかもしれない」と観客目線に立つ必要性を口にする。

 前向きな変化もあった。東レは試合前後の催しとして、かつて在籍した元日本代表の木村沙織さんらのトークショーや、選手と子どもたちのハイタッチを新たに企画。参考にしたのは、開幕3年目で盛り上がりを見せる男子プロバスケットボールのBリーグ。同じ大津市を拠点とする滋賀レイクスターズのホーム戦をスタッフが観戦し、会場内をユニホームと同じ青色の横断幕で埋めるといった雰囲気づくりに取り入れたという。

 東レの高杉洋平事務長は「一般の方がどうやったら来て楽しんでくれるのか。チケットの価格設定も含め、考えていかないと」と来季を見据える。卓球でもプロ化した「Tリーグ」が昨秋発足し、アリーナスポーツを取り巻く環境は激変している。バレー人気に陰りが見られる中、会場に足を運んでみたいと思わせる仕掛けに期待したい。

[京都新聞 2019年5月15日掲載]

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