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社説:安倍改造内閣 「真摯な姿勢」今度こそ

 第4次安倍改造内閣と新たな自民党役員体制がスタートした。

 党総裁選で3選した安倍晋三首相の「最後の任期」となる残り3年間に向けた最初の布陣である。

 総裁選で掲げた憲法改正の実現と、来夏の参院選に向けた思いは読み取れる。ただ、それ以外の政策課題や、解決のための方向性を示した人事とは言い難い。

 改造内閣では麻生太郎財務相、菅義偉官房長官のほか外務、経済産業などの主要閣僚が留任した。総裁選で支持を得た派閥からバランスよく起用し、争った石破茂元幹事長の派閥からも登用した。党内融和を演出したといえる。

 閣僚19人のうち初入閣は12人に上った。「入閣待機組」に配慮したとみられ、清新さは感じられない。手腕や力量は未知数で、山積する課題への対応には不安も感じさせる。むしろ、官邸が各省庁を直接コントロールする傾向が強まらないか気になる。

 首相の思いは、党役員人事に、よりにじみ出ているようだ。

 3選に協力した二階俊博幹事長と岸田文雄政調会長を再任したほか、国会への法案提出に不可欠な党内手続きの場である党総務会を仕切る総務会長には自らに近い加藤勝信氏を起用した。

 盟友の甘利明氏を選対委員長に、側近の下村博文氏を憲法改正推進本部長に就けたのは、改憲と参院選を重視している表れだろう。内閣と党を身内で固め、異論を封じ込める。「安倍1強」を象徴する内向きの人事ではないか。

 ただ、甘利氏は建設会社からの金銭授受問題で2年半余り前に閣僚を辞任している。党の役職とはいえ、このタイミングでの復権に世論の理解は得られるのか。

 森友問題の真相解明ができていない中での麻生氏の財務相留任への批判も免れまい。来秋の消費増税で国民負担を求める立場だけに反発を招くことも否定できない。

 安倍氏は今後、就任以来掲げてきた政策の総仕上げをしなければならない。改憲や選挙対策にばかり政治的エネルギーを費やしているわけにはいかない。国民生活に身近な課題解決へ、具体的なシナリオを示す必要がある。

 とりわけ超高齢社会への対応や財政再建は、国民の痛みを伴う部分もある。そこに踏み込むには、内閣、党を含めた政権への信頼性が決定的に重要である。

 異なる意見にも耳を傾け、批判に謙虚に向き合う姿勢が欠かせない。真摯(しんし)な政権運営を目に見える形で実行するしかない。

[京都新聞 2018年10月03日掲載]

【 2018年10月03日 11時57分 】

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