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博物館、あり方議論活発 国際会議京都大会開催まで1年

大学博物館相互の連携について議論する「大学博物館・コレクション国際委員会」メンバーと京都の関係者ら(9月30日・京都市下京区)
大学博物館相互の連携について議論する「大学博物館・コレクション国際委員会」メンバーと京都の関係者ら(9月30日・京都市下京区)

 世界140カ国・地域から専門家が集う来年9月の「国際博物館会議(ICOM)京都大会」の開催まで1年を切り、博物館のあり方を問うシンポジウムが相次いで開かれている。文化財修復や展示、戦争など計30の委員会で話し合う本番に向け、関係者らが議論を重ねている。

 京都の14大学でつくる「京都・大学ミュージアム連携」は9月下旬、スアイ・アクソイICOM会長と大学博物館・コレクション国際委員会(UMAC)のマルタ・ローレンソ委員長を招いた。

 同連携は、京都の大学博物館所蔵品展を12月から台湾で開く。「アジアの大学ミュージアムによる積極的な活動が期待されており、資金や事務局など足元固めの必要性を痛感した」と並木誠士・京都工芸繊維大美術工芸資料館館長は話す。

 博物館機能の見直しを考えるため、国立民族学博物館(大阪府吹田市)も国際シンポジウム「ミュージアムの未来」を開催。伊藤敦規准教授が米国先住民のホピ族からの聞き取り映像を「民族の記憶の集合体」と捉え、研究者だけでなく、先住民自身が映像を再編集する意義を説明した。「博物館は単なる展示施設でなく、地域コミュニティーになるべき。今後は機能そのものが再定義される」と強調した。

 吉田憲司館長は、「ミュージアム」をかつて美術館と博物館に訳し分けた歴史を踏まえ、「展示品を美術館は作品、博物館は資料として扱い、個々の役割が強化された。半面、それぞれの世界しか見ていないのではないか」と述べ、両者の区分を取り払うことを検討すべきとした。

 福島県立博物館長の赤坂憲雄氏は、国際高等研究所(木津川市)で講演。パリで学んだ芸術家の故岡本太郎さんの収集品が民族学博物館の開館時に納められ、人類学が博物館を活性化してきた歩みを振り返った。

 京都大人文科学研究所も17日にシンポジウム「博物館と文化財の危機」を催し、展示による文化財の劣化など観光化や商品化への懸念を議論する。ICOM京都大会組織委員長の佐々木丞平・京都国立博物館館長は「廃仏毀釈(きしゃく)への危機感から博物館が誕生するなど、ミュージアムは社会の課題と向き合ってきた。何をどう見せるかなど大会まで議論をしてほしい」と期待する。

【 2018年11月09日 21時18分 】

ニュース写真

  • 大学博物館相互の連携について議論する「大学博物館・コレクション国際委員会」メンバーと京都の関係者ら(9月30日・京都市下京区)
  • 国立民族学博物館が開いた国際シンポジウム「ミュージアムの未来」(同28日・大阪市北区)
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