出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

コラム凡語:ラストラン

 去り際の言葉には波乱に富んだ道を歩んだアスリートの思いが凝縮している。「自分の強さでもあり、悩まされることも多かった」と語ったのはフィギュアスケートの浅田真央さんだ▼決まればインパクトがあるが、失敗のリスクもともなう大技のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は彼女の代名詞だった。「何でもっと簡単に跳ばせてくれないの」と会見で笑った▼昨年は各競技の顔だった女子選手の引退が相次いだ。ゴルフの宮里藍さん、テニスの伊達公子さん。自らの道をたくましく切り開いた彼女たちの足跡は今は無名の少女たちの背中を押す▼きょう号砲が鳴る全国女子駅伝でラストランを飾る選手もいる。滋賀チームの竹中理沙さんは彦根市出身で立命館宇治高、立命館大で駅伝日本一に輝いたトップ選手だ。競技生活を締めくくる舞台として都大路を選んだ▼自分が元気に走る姿を見てもらうことで故郷の人に感謝を伝えたい。そんなランナーの率直な思いを取材で何度も聞いてきた。卒業や就職の転機が近づき、今大会に特別な思いを抱いて臨む選手も少なくないだろう▼懸命に目指してきたゴールは新しい舞台への出発点でもある。京都の沿道で、遠いふるさとのテレビの前で。勇気を持って踏み出す彼女たちを励ます声が聞こえるはずだ。

[京都新聞 2018年01月14日掲載]

【 2018年01月14日 16時26分 】

京都新聞デジタル版のご案内

    地域のスポーツニュース

    全国のスポーツニュース