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(10)蓮包

京都華包研究会  杉崎翠山
蓮包の折形図 「蓮包」(遠州六世貞松斎米一馬筆「華包」より)
蓮包の折形図 「蓮包」(遠州六世貞松斎米一馬筆「華包」より)


魚たちとの競演、涼やかに


ハス

 仏教とともに伝来。「蓮は泥より出でて泥に染まらず」の言葉に見えるように、その花は清らかさや聖性の象徴としてたたえられてきた。土中で長い間発芽能力を保持し、各地で古代ハスが花開く例も。





 衣食住のさまざまな場面で用いられる蓮(はす)は、花に雄弁さを感じます。「蓮包」は水物花材を使用するので、今回は水上と水面、水中が見える京都水族館で撮影しました。

 オオサンショウウオが物珍しそうに出迎えてくれる水槽を前に、水面よりも高く出る性質を持つ蓮の花と葉を語らうように生けました。抽象的に感じた紫の和紙は水面より低い位置に配置し、水中での根を表現しました。

 大水槽では周囲から際立つ色の和紙で華包を作り、海中のサンゴをイメージ。作品の周りをたくさんの魚が泳ぎ、大きな動きを伴う作品となるよう構成してみました。蓮の実に「なんだろう?」と寄ってくる魚たち。魚そのものが、花のようにも映ります。水引にかえて、水中で生き物が動いた時にできる気泡に見立て、小さな風船を合わせてみました。

 華包はお家(うち)の壁や柱はもちろん、どこでも簡単に飾れる面白みがあります。持ち運べるいけばなの楽しみを感じてください。


京都華包研究会 杉崎翠山 (すぎさき・すいざん)

  1985年京都市生まれ。喜堂未生流家元。京都華包研究会同人。

花も葉も、水中からスッと立ち上がる姿をイメージした(京都市下京区・京都水族館) 群れなす魚たちに、華包をプレゼント。光を受けて、きらめくようだ
花も葉も、水中からスッと立ち上がる姿をイメージした(京都市下京区・京都水族館)
花材=ハス、パニカム・スモークグラス
群れなす魚たちに、華包をプレゼント。光を受けて、きらめくようだ
花材=ハスの実、クレマチス、ドラセナ、パニカム・スモークグラス

【2018年08月10日付京都新聞夕刊掲載】