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(3)石垣陸太准教授 CT検査

患者の負担、最小限に

人体模型を使い、CTの機能や撮影技術を学ぶ学生たち(南丹市園部町・京都医療科学大)
人体模型を使い、CTの機能や撮影技術を学ぶ学生たち(南丹市園部町・京都医療科学大)

 CT(コンピューター断層撮影)検査を受けたことがありますか? 年間約3千万件行われますので、毎年4人に1人が受ける身近な検査です。日本のCT装置数は1万人当たり約1台で、世界1位です。患者にとっては、どこでもいつでも検査を受けられる恵まれた環境にあります。

 CT検査は交通事故やがん、心筋梗塞の治療に欠かせません。がんの手術では前もって腫瘍の位置と大きさ、転移の有無を知らなければなりません。放射線によるがん治療でも照射範囲や腫瘍形状をCTで把握します。

 心筋梗塞が疑われる患者は、心臓に血液を送る血管が細くなっていないかをCTで調べます。近年は肺がんの早期発見を目的に、低線量CT検診も一部の人間ドックで実施されるなど予防医学でも活用が始まり、「CTなくして現代医療はない」と言われるほどです。

 しかし、CTにも欠点があります。被ばく線量が他の放射線検査に比べて著しく高いことです。胸のCT検査を受ける患者は、一般のエックス線撮影(レントゲン検査)に比べて40~215倍被ばくするとされています。被ばく線量を低減してきれいな画像を撮影するのが、診療放射線技師の腕の見せ所です。

 この技術を習得するには、確かな技術と根拠に基づく実践が必要です。本学の学生は、臨床と同じ機器を利用して実験学習も経験しながら、医療安全や機器工学、検査学を重点的に学び、患者の負担を最小限にする技術を4年かけて学びます。

 CTとよく似た検査にMRI(磁気共鳴画像装置)があります。放射線ではなく強力な磁石による画像診断で脳や脊髄、関節などの検査に使われます。件数は年間1500万件ですので、MRI検査を受けた経験がある方も多いでしょう。

 CTもMRIも、病院では診療放射線技師が撮影します。MRIはCTと比べて検査に時間がかかり、閉所恐怖症で検査できない患者もまれにおられますが、多くの命を救ったとして、双方の研究者にノーベル医学生理学賞が授与されました。

 次回は放射線検査に伴う、放射線の健康への影響について述べます。

いしがき・りくた

石垣陸太准教授

 徳島大大学院工学研究科機能システム工学専攻博士後期課程修了。工学博士。国立病院機構関東信越・近畿で勤務。2016年から京都医療科学大准教授。専門は医療情報学。

【2018年12月11日掲載】