京都新聞TOP >HARADISE
インデックス

後悔は未来のために

【相談】「今日は早く帰ります」「明日は休みます」その一言が上司に言えません。

 ハラダ先生、こんにちは。
小さな企業に勤めている40代男性です。
少人数で毎日、忙しく働いています。
「行きたいところがあるので今日は早く帰ります」
「予定があるので明日は休みます」
その一言がいつも言えません。
おかげで、何度、大きな機会を泣く泣く見過ごしてきたことか。
きっと上司は「言ってくれれば、休んでいいのに」と言うでしょう。
それはわかっているのですが、なぜでしょう、その一言がなぜだか、言えないのです。
ハラダ先生、こんな僕をどう思いますか?

40代 男性

ハラダの答え

 今回は、相談ではなく質問がやってきた(笑)。「僕のこと、どう思いますか?」という問いへの返事は、「優しいなあ」とか「言ってもいいと思うよ」とか「不器用だな」とか「好きにしなはれ」とか、色々と思い浮かぶ。でも、やっぱりここは「僕のこと、どう思いますか?」を相談として受け取って、「なぜだか、言えない」君に、僕の思うところを伝えてみようと思う。

「今やりたいこと」と「常にどうありたいか」は、必ずしも一致しない。おそらく君は、一緒に働くメンバーに迷惑をかけたくないと思っているし、自分の仕事に責任を持つ人間でありたいと思っている。でも、その「あるべき自分」を裏切ってでも、「今やりたいこと」が出現した時、思い切って「今やりたいこと」を選べない自分に、少しがっかりして、時に後悔しているのだろう。
矛盾しながらも同時に存在する二つの「こうありたい自分」。周囲に迷惑をかけない自分と、迷惑をかけてでも、やりたいことを選ぶ自分。相反する二つの理想を抱えてしまったとき、多くの場合人は、そのどちらかを諦めなければならない。

一つ目のアドバイス。君は決して勇気がなくて上司に「言えなかった」のではなく、自分の意思で「言わなかった」のだと考えてみてはどうだろう。自分を肯定することは、選び取った結果に対して責任を持つために、すごく大切なことだ。「こんなにも行きたい気持ちがあるのに、仕事仲間に負担をかける自分にはなりたくないから諦める」という選択も、君にとっての「なりたい自分」になれた瞬間だからだ。

二つの目のアドバイス。「周囲に迷惑をかけてでも、自分のやりたいことを選ぶ時があってもいい」と自分自身に言い聞かせること。そして、その上で「本当にどちらかを諦めなければならないか」を検証すること。おそらく君にとっては、これが一番大事だ。

「周囲への迷惑を最小限に抑えて、やりたいことを選ぶ自分」いざ、そんな自分になろうとしても、すぐに変わるのは難しいかもしれない。努力と工夫、それに訓練が必要だ。例えば、「本当に迷惑がかかるなら、喜んで諦めるのですが、今夜僕は早く帰りたいです。皆さんの今日と明日の予定を聞かせてください」と切り出してみてはどうだろう。みんなの希望を聞いて、それぞれの希望がかなえられる方法を一緒に考える方が、一人で勝手に気を使うよりもずっと合理的なはずだ。「それじゃあ、明日少し早く出社しよう」なんて、案外簡単なことで解決するかもしれない。その日にいきなり言いだすことが難しいなら、余裕を持って1週間くらい前に相談するのもいいだろう。

普段から、やりたいことを諦めた自分に対して周囲の人が気を遣わずに済むように、君はたくさんの工夫をしているだろう。「また次がありますから」と伝えてみたり、楽しそうに残業したり。その優しさと気遣いを、今度は自分自身に向けてよう。
まずは、自分のやりたい事をちゃんと伝える。会社やチームの意思決定の中に、自分の希望する選択肢も滑り込ませる努力と工夫をしてみよう。もちろん、メンバー全員の希望を平等に滑り込ませるやり方で。快適な職場作りのための大切な工夫だし、君だけじゃなく、メンバーみんなのためにもなる。

初めは不器用で不細工なやり方になったとしても、続けていくうちにだんだんと身についてくる。繰り返し繰り返し訓練していれば、「なぜだか、言えた」自分に、いつの間にかなっているのではないかなと思う。

いくつになっても、僕らは変われる。僕は、そう思っている。

「後悔は未来のために」 作詞作曲:原田博行

歌詞

photo by かつらかづみ

的外れな思いやり誰のためだろう
我慢しても自慢には決してならない

窮屈な固定観念捨てて
やりたいことを口にして

自由にはわがままも 必要だろう
甘えたり甘えられたり繰り返すだろう

後悔は未来切り拓く時
行く先を照らし消えてゆく

消えてゆく

◇       ◇       ◇

 サウンドロゴ・クリエイター、シンガーソングライターにして現役高校教師の原田博行が、みんなの悩みにオリジナルソングで答えます。お悩みの応募は(haradise@mb.kyoto-np.co.jp)まで。ギター1本の語り弾き、「アイ・ラブ・ミー」なハラダ先生による明るい相談室へようこそ!

【2018年11月9日】