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災害復旧工事の入札不調 建設業界縮小、工期厳しく

京丹後支局 片村有宏
昨年の台風で被災した河川の護岸。再形成工事が落札されないまま、今年の台風でも左奥の道路が被災した(京丹後市丹後町久僧)
昨年の台風で被災した河川の護岸。再形成工事が落札されないまま、今年の台風でも左奥の道路が被災した(京丹後市丹後町久僧)

 幾度となく襲う自然災害が過疎高齢化で弱りゆく地方に追い打ちをかけている。京都府北部では今年、西日本豪雨や台風が猛威を振るった。昨年も台風被害に見舞われた京丹後市では、建設業界の縮小から災害復旧工事が落札されない「入札不調」が顕在化している。地方は今、傷ついたわが身を癒やす体力さえ失いつつある。

 「本年度内に工事が完了しなければ、国庫補助金を返還して市の税金だけで工事しなければならない。財政に非常に大きなダメージになる」。11月16日、市役所で市内業者約40社を前に、市建設部の中西和義部長(60)は協力を訴えた。台風28号など昨年の災害復旧で、本年度分の工事のうち4割に及ぶ3億1千万円分が宙に浮いていた。

 地方自治法により、国庫補助の条件は本年度中に工事を終わらせること。だが、多くの工事で入札を繰り返しても応札なしが続く。市は国に期限延長を訴えたが、制度を理由に難色を示されたという。

 迫る期限に間に合わせるため、業者側が年度内の工期に間に合わなくても指名停止のペナルティーが回避できるよう、市は来年度に執行予定だった残りの工事と抱き合わせて随意契約を発注した。業者が本年度分の工事完了に間に合わなかった場合、市が単費でかぶることも辞さない覚悟の「苦肉の策」だったが、30件の発注のうち契約に至ったのは現在4件のみ。中西部長は「市民のために早期復旧しなければならないが、非常に苦しい」と吐露する。

 入札不調の原因には建設業界の縮小が影響している。過疎高齢化の進展や公共工事の削減により、市では台風23号禍の14年前と比べて業者数が半減、作業員数も3分の1までに減った。「今ほど業者が減ったのは初めて。一度落ちた体力はなかなか戻らない。やる気はあっても工期が厳しく、思い通りにいかない」と、京丹後建設業協会の山ア高雄副会長(55)は漏らす。冬場は除雪に人手をとられるという降雪地帯固有の悩みも入札不調に拍車をかける。

 市の切実な訴えに対し、国は「市外に広げて発注すべき」と回答した。だが、災害復旧工事は細かい現場を集めて発注され、地元との調整などを含めて手間と労力を要すため、市外の業者では対応しづらい。市は従来の方針を覆して市外に発注を広げたが、外から手は挙がらなかった。

 また、被災直後の緊急工事は地元業者が担当する。10月の台風24号でも山アさんの会社は未明に駆け付け集落の孤立を救った。建設業界は「地域防災力の源」とも言える。

 入札不調は全国各地の災害復旧工事でも起こり始めている。度重なる災害にあえぐ地方の声に、国は耳を傾ける必要があるのではないだろうか。

[京都新聞 2018年12月12日掲載]

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