The Kyoto Shimbun
取材ノートロゴ

大山崎新町政、波乱の船出 公約実現向け財源示せ

洛西総局 大西成美
大山崎町の12月定例会最終本会議で、2018年度一般会計補正予算案の修正動議を出す町議(右奥)=町役場議場
大山崎町の12月定例会最終本会議で、2018年度一般会計補正予算案の修正動議を出す町議(右奥)=町役場議場

 昨年10月投開票の京都府大山崎町長選で、共産党の支持を得て初当選した前川光氏(62)。就任初日から臨んだ町議会の12月定例会は、野党会派の提出した2018年度一般会計補正予算案の修正案を可決、閉会する苦しい滑り出しとなった。一般質問の答弁でも、選挙期間に批判した前町長の財政運営や観光施策を肯定するような発言があり「支離滅裂だ」との傍聴者の声も聞いた。前川町長は「住民主体のまちづくり」「公立3保育所の運営堅持」を公約に掲げたが、その実現に早くも黄信号がともった格好だ。

 前川町長は、12月定例会で前町長が22年度末に廃園方針を決めた町立第二保育所を存続させるため外壁塗装工事の実施設計業務委託費(90万円)を補正予算案に計上。しかし、最終本会議の採決前に野党会派から「予算執行は大規模開発につながる」と修正動議が出され、同委託費を削減した修正案が可決された。

 また、前川町長は学校給食の運営について、学校とは別の敷地で調理、配送する「センター方式」施設の建設に向けて進めていた設計業務を撤回。18年度当初予算で3800万円を計上し、19年度にも着工予定だった計画はいったん白紙に戻った。ところが、前川町長が公約した町内3小中学校での自校調理方式で進める場合の財源の確保策を問われると「事業費の削減などを検討する」と曖昧な答弁に終始した。こうした町長の姿勢に議員から「当選から就任までの1カ月余り、何をしていたんだ」と批判が飛び交った。

 就任前の昨年11月30日の町教育委員会では、前町長から任命された中條郁教育長が辞職を願い出た。前川町長に「前町長と一緒にやってきた人に継続してもらう意向はない」と促されての人事案件だったが、教育長を除く4人の教育委員全員が反対、留任が決まった。前川町長は「就任前のことで慎重を期すべきだったと反省している」と述べた。

 前川町長は、1994〜2018年に町議を通算5期務め、与野党両方の立場から5人の町長を見てきた。自民党員だった06年の町長選では、共産推薦の新人が自民などの推薦を受けた現職に勝った姿を、敗れた立場から目の当たりにしている。その後の4年間、町では当初を含めた一般会計予算案が2度、水道事業会計の当初予算案も4年連続で否決され、町政が混乱した苦い歴史を持つ。

 町長選と同時に改選された町議選では共産から議長が誕生し、少数与党でのスタートとなった。厳しい議会対応を迫られるのは自身の経験からも一定想像できたと思えるが、どれだけの対策を行ってきたのだろうか。

 町は19年度当初予算案の編成作業に取り組んでいる。前川町長にとって就任後初の通年予算となる。公約の実現には具体的な財源の裏付けと説明が必須条件だろう。町議会だけでなく有権者の期待に応えるためにもリーダーの重責を感じてもらう必要がある。

[京都新聞 2019年1月9日掲載]

▼前の記事取材ノートからTOP次の記事▲

各ページの記事・写真は転用を禁じます
著作権は京都新聞社に帰属します
ネットワーク上の著作権について―新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に(日本新聞協会)
電子メディアおよび関連事業における個人情報の取り扱いについて
京都新聞
京都新聞TOP