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社説:不適切検査 揺らぐ車づくりの信頼

 細かな数字の優劣で品質を競い合う自動車の燃費データの検査が、ずさんな方法で行われていた。その落差に驚かされる。

 スズキとマツダ、ヤマハ発動機の3社が、新車の燃費や排ガス測定で国の定めたルールを無視して不適切な検査を行っていた。

 特にスズキは、抜き取り検査した四輪車約1万3千台の約半数が検査条件を満たしていないのに有効なものとして処理していた。

 燃費データばかりか、車づくりそのものへの信頼性を大きく揺るがしかねない行為だ。

 問題の検査は、燃費や排ガスが基準内かどうかを確認するため、ローラー付きの測定器の上で一定の走行パターンで車を走らせる。

 燃費測定方法の一つであるJC08モードの場合、20分の測定時間で加速と減速を繰り返す。基準に対しプラスマイナス2キロ以内の速度で走り、許容される逸脱時間は1回当たり同1秒か合計2秒までとされている。

 だがスズキでは、時速が規定の範囲を外れるとブザーが鳴る仕組みだったが、検査を中断せずに有効としていた。合計の逸脱時間も最大で約240秒となった事例があった。燃費試験に詳しい管理職も置いていなかった。

 マツダは検査条件を逸脱した場合に自動的に無効とするシステムがなく、ヤマハ発動機は規定違反の教育を徹底していなかった。

 いずれも必要な人材の配置や設備投資が十分なされていなかった。消費者の目を引く先端技術に力を入れる一方で、外から見えにくい検査では現場任せのおおまかなやり方が黙認されていた。

 製品のチェック機能をあまりに軽視していないだろうか。

 3社はチェック体制を厳しくし再発防止に努める姿勢を示している。だが、自動車業界は慢性的に人手が足りず、従業員の入れ替わりも頻繁なのが実情だ。

 再発防止に向けた取り組みを現場に浸透させるため、検査の目的や作業手順をしっかり根付かせていく仕組みづくりが求められる。

 自動車メーカーを巡っては、昨年以降だけでも、燃費などの検査データ改ざんや無資格の従業員が完成車の検査に携わったりするなどの問題が相次いで発覚した。

 電気自動車や自動運転など先端技術の進展で、業界を取り巻く環境は大きく変わりつつある。検査段階での不祥事は、商品としての車の価値を損ないかねない。

 業界全体の課題ととらえ、徹底した業務の見直しが必要だ。

(京都新聞 2018年08月11日掲載)

【 2018年08月11日 11時00分 】

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