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コラム凡語:山の日

 今夏、醍醐寺(京都市伏見区)の総門から上醍醐をたどって、岩間寺(正法寺、大津市)までの山道を歩いた。「災害級」の猛暑とまで言われる前だったが、熱中症予防で水はいつも以上にたっぷりと持ち、塩分補充用の飴(あめ)もリュックに入れた。山林の木陰の道は思ったほど暑くなく、ばてはしたものの無事約10キロの山行を楽しむことができた▼きょうは山の日。大文字山や愛宕山など都市近郊の山でも遭難が目立っている。慣れた山に登るにも、十分な準備と注意が必要だろう▼醍醐寺から岩間寺までは、西国三十三所観音霊場巡りの道のりである。上醍醐・准胝(じゅんてい)堂(落雷で焼失)は第11番、岩間寺は第12番の札所だ。古来の巡礼の道が、レジャー登山のルートにもなっている▼下京区の龍谷大龍谷ミュージアムで開かれている展示「近世京都の寺社参詣」を見ると、寺や神社詣でと物見遊山の行楽は、江戸時代からセットだったことがうかがえる▼色鮮やかな屏風(びょうぶ)に、巡礼者や祇園祭見物の人々でにぎわう京の町の様子が生き生きと描かれている。社寺などの名所を紹介する観光ガイドの絵図も並ぶ▼戦乱の後、太平の世が訪れた江戸時代、旅は庶民の娯楽として一気に広まる。京の街に、世界の人々が訪れて楽しむ現代。いま一度、平和を思い直す夏である。

(京都新聞 2018年08月11日掲載)

【 2018年08月11日 15時00分 】

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