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コラム凡語:恋に落ちたら

 障害があるほど燃え上がる。恋とはそういうものだとよく言われる。ドラマなどで「恋愛もの」が大当たりしにくくなったのは、社会の「障害」が見えなくなったからだと、ずいぶん前に聞いたことがある▼米国の心理学者が「ロミオとジュリエット効果」と名付けたそうだ。この2人の場合はどうなのだろうか。米朝首脳である▼金正恩委員長から手紙をもらったトランプ大統領は「私たちは恋に落ちた」とジョークを飛ばした。再び対話が始まったものの、対立が解消されたわけではない▼合意したはずの非核化はなかなか進展しない。再会談に意欲を示すが、中間選挙のため後回しになった。「会えない時間が愛育てる」「うまくいく恋なんて恋じゃない」―。往年の歌謡曲の名文句を思い出す▼6月の初会談後にトランプ氏が欲しがった今年のノーベル平和賞は、紛争下の性暴力と闘うコンゴの医師とイラクの女性が選ばれた。受賞者によく疑問の声が上がる平和賞である。浮ついた政治家よりも、地道に活動する人こそがふさわしいのではないか▼「恋は盲目」なのも心配だ。それでも、もし思いが実り、非核化や拉致問題が本当に解決するなら、来年の受賞にケチをつける人は少なくなるかもしれない。そのときは盛大に「ラブ&ピース」を祝いたい。

[京都新聞 2018年10月12日掲載]

【 2018年10月12日 14時58分 】

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