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社説:片山氏の疑惑 説明逃れは許されない

 またしても閣僚の資質が問われかねない問題が生じている。

 片山さつき地方創生担当相に国税庁への口利き疑惑が浮上した。

 週刊文春によると2015年に片山氏の当時の私設秘書が会社経営者から100万円を受け取り、この会社の確定申告に絡んで片山氏が国税庁関係者に電話したという。

 片山氏は「事実と異なる」と否定した。だが疑惑の核心部分の質疑で具体的な説明を拒んでいる。

 発行元の文芸春秋に損害賠償を求め、「司法の場で明らかにする」と事実関係の説明を避け続けている。

 国会ではこれまでにも、刑事事件として捜査中であることや刑事訴追の恐れを理由に証言や説明を拒否する例はあった。だが、今回の訴訟は疑惑を持たれている片山氏本人が起こしたものだ。

 閣僚は国会の場で事実関係を明らかにするのが筋であり、それが公人としての責務だ。政治家の説明責任と司法手続きを混同してはならない。

 疑惑が事実なら、あっせん利得処罰法違反に問われる可能性もある。週刊文春は、片山氏と会社経営者との電話のやりとりとされる音声データも公表した。

 先日の衆院予算委員会で片山氏は、現金を受け取ったとされる元私設秘書の税理士について「秘書として契約したこともなく、給与報酬などを払ったこともない」と述べながら、参院を出入りできる通行証を保有していたと認めた。音声データは「(自分の声かどうか)判別できない」と曖昧な答弁に終始した。

 疑問は膨らむばかりである。

 裁判を盾にした片山氏の答弁拒否を多くの国民は容認していない。共同通信の世論調査でも「記者会見などで詳しく説明するべきだ」との回答が約75%に上った。重く受け止める必要がある。

 資質が疑われているのは、片山氏だけではない。

 桜田義孝五輪相は東京五輪・パラリンピックの関連経費などを巡り、しどろもどろの答弁で質疑が頻繁に中断した。宮腰光寛沖縄北方相の過去の不適切な行動や、柴山昌彦文部科学相の教育勅語に関する問題発言も明らかになっている。安倍晋三首相が「適材適所」と起用した新閣僚だが、ほころびが露呈し始めたのではないか。

 片山氏は「説明責任を誠実に果たしたい」とも語る。そうならば国民の疑問に真摯(しんし)に答え、職責を果たしてほしい。身勝手な自己都合による説明逃れは許されない。

(京都新聞 2018年11月09日掲載)

【 2018年11月09日 11時00分 】

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