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社説:住宅再建の支援

 相次いだ地震や水害で、多くの被災者が今なお避難生活を余儀なくされている。

 住宅を再建しようにも、多額の費用がかかる。そんな現実が生活の立て直しを阻んでいる。何らかの公的な支えが必要だ。

 その仕組みは十分だろうか。

 昨年7月の西日本豪雨被害を受け、京都府は独自に設けている住宅再建支援制度で、全半壊したり、床上浸水したりした11市町の世帯に最大300万円を出すことを決めた。同10月までに100世帯に支給した。

 米原市で同6月にあった竜巻被害では、住宅が半壊した6世帯に滋賀県の制度が適用され、支援金が払われる見込みだ。

 国には、阪神大震災後にできた被災者生活再建支援法に基づき現金支給する仕組みがある。ただ、適用のハードルは高い。

 西日本豪雨の場合、府内で適用となったのは福知山市と綾部市だけだった。米原市のケースも国の仕組みには当てはまらない。府や県の制度がなかったとしたら、多くの被災者が困り果てていたに違いない。

 国の仕組みで問題なのは、対象となる家屋被害が基本的に全壊と大規模半壊に限定されていることだ。実際には住めない被害があっても、半壊以下と認定されればお金をもらえない。

 市町村人口に応じた被害の程度によって適用されるかどうかの線引きがなされているのも不合理だ。2013年9月の台風18号では、被災家屋が多かった舞鶴市、福知山市に適用されたが、綾部市は被災家屋数が基準に届かず、適用外だった。

 同じ災害で被災しても、家屋の壊れ方や居住地によって差が生じる。「半壊の涙」「境界線の明暗」といわれるそうだ。

 避難生活を強いられ今後の暮らしに不安を抱えたうえ、こんな不公平を突きつけられるのは耐えがたいのではないか。

 各地の自治体が独自の支援制度を設けているのは、こうした国の仕組みから漏れた被災者を救済するためだ。ただ、国の仕組みとは別建ての制度のため、国の対象から外れると、その分合計支給額は低くなる。

 やはり、ベースとなる国の仕組みを拡充させる必要がある。

 被災者生活再建支援法は、住宅など個人資産への公的補助に慎重な意見もある中、阪神大震災をふまえて議員立法で成立した。その後の度重なる地震被害で改正され、支援額は最大300万円に増額されている。

 こうした経緯を考えれば、被災者側に立った仕組みに柔軟に変えていくことは自然な流れではないか。建物の被害を基準に支援を考えるのではなく、被災者の生活実態に目を向けた仕組みに改めていく必要がある。

 全国知事会は昨秋、支給を半壊まで拡大することや、被災区域全体を対象に含めることなどを求める提言をまとめた。

 住宅再建を支え、自立を助けることも復興には必要だ。政府は真摯(しんし)に受けとめてほしい。

 「国土強靱(きょうじん)化」はハード整備に限ったことではなかろう。個人が被災から短期間で立ち直れる仕組みをつくることこそ、災害に強い社会、国土づくりへの一歩といえるのではないか。

【 2019年01月13日 10時13分 】

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