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社説:バス運転手不足  過酷な勤務環境見直せ

 全国のバス会社で路線バスなどの運転手不足が深刻化している。

 厳しい労働環境が改善されず、人材が集まらないのが要因だ。京都市内では、従来のダイヤを維持できなくなり、大幅な減便に踏み切ったバス会社もある。

 企業努力だけでは限界がある。人員確保には、大胆な公的支援の検討も必要ではないか。

 人員不足の背景には、バス運転手の過酷な勤務実態がある。

 日本バス協会によると、2016年のバス運転手の年収は448万円で全産業労働者の平均より42万円も低かった。一方、年間労働時間は2520時間で約400時間多かった。

 50代以上の運転手の割合が全体の4割を占め、就職して5年以内の離職率も3割を超えている。女性の割合は2%に満たない。

 働き方や待遇の改善は待ったなしだ。早急に手を打たなければ、運転手不足がダイヤ縮小につながり、さらに厳しい労働条件を招く悪循環が繰り返されてしまう。

 バス業界は2000年の規制緩和以降、貸し切りバスを中心に新規参入が相次ぎ、結果的に低賃金と運転手の取り合いに陥った。

 16年1月の軽井沢スキーバス事故を契機に、安全に関わる投資計画を5年ごとに見直す事業許可の更新制が導入されたり、運転手の健康管理体制が強化されたりするなど、バス会社には従来より重い運行責任も求められている。

 だが、労働環境は簡単には変わらない。国土交通省が昨年、運転手約7000人に行ったアンケートでは、25%が1日の睡眠時間が5時間未満と回答した。人員確保が不十分なまま、事故のリスクと背中合わせで運行に携わっているのが実態ではないか。

 バス運転手になるのに必要な大型2種免許を持つ人も年々減少、高齢化しており、いまや保有者が最も多い層は60代後半だ。

 若い世代の同免許未取得者を採用対象に加えるため、高額の教習費用を全額負担するバス会社が増えている。こうした取り組みを事業者任せにせず、公的に支えることも考えていく必要がある。

 国交省は、各地のバス会社ごとに異なる繁忙期に運転手や車両を融通し合えるようにするため、労働条件に関するルールづくりの支援を検討しているという。

 人員不足は各会社共通のテーマである。運転手にとって働きやすい環境を整えられるよう、会社の枠にとらわれず、柔軟に知恵を絞ってほしい。

[京都新聞 2018年10月12日掲載]

【 2018年10月12日 11時51分 】

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